Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界文明

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2013年7月25日

メルマガ「文明の万華鏡」第15号を発行しました

私が「まぐまぐ」社から発行している有料メルマガ「文明の万華鏡」、昨日第15号を発行しました。目次は次のとおりです。このブログには載せていない記事もいくつかありますので、この「文明の万華鏡」を是非購読していただけますよう、お願いします。
講読手続き(月710円)は、この記事の末尾に掲げておきます。クレジット・カードが必要になります。

目次
☆今月の話題
1・「リーマン後」后へ
2.ナヴァールヌイとスノーデンとロシアの今後
3.国際政治の駒としての2014年ソチ冬季オリンピック

☆ワルの歴史観その2
   「出自不明の武人国家ローマ」

☆随筆 
   賃上げ闘争を
   日本海の中国海軍
   生産性をめぐる倒置された議論 それよりコンプライアンスを緩和したら?

(以下に、このメールの序言だけを転載しておきます)

参院選挙が予想通り、自民党の大勝利に終わりました。しかし・・・
これまでいろいろな国を見てきたところでは、「欲しがりません。勝つまでは」ということでおとなしくしていた党内の諸勢力、周辺のアドバイザー達が、勝利の後には急に「欲しがる」ようになり、政権をしっちゃかめっちゃかにしてしまうことがよくありました。ロシアのエリツィン大統領が勝利の後、遠くの別荘に引きこもって飲んだくれていたために、モスクワでは利権の奪い合いになったことがあります。

今回も、消費税引き上げの是非をはじめ、国会、世論での議論が錯綜してくることが予想されますので、迷走を避けるために、政権の基本的な目標というものを早めに示しておいてもらいたいと思います。そうしておけば、これから議論や利権争いの森に迷い込んでも、空を見ればその目標が見えるでしょうから。

そしてその中では、自由民主党の看板である、自由と民主を前面に出してもらいたいと思います。国家という神聖なものが最初からあって、国民はそれを守るために命を投げ出さないといけないというのではなく、戦後の日本が築いた、自由で民主的な社会を守るために政府が頑張る、国民はその政府を支える――というのが、めっきり権利意識を強めた若い世代にも受け入れられる言い方であると思います。

米国をはじめ、世界では安倍政権の「右傾化」を心配する声も見られます。日本と対立する国々は、そうした懸念を煽っています。日本は、そうした連中に日本批判の口実をむやみに与えないよう注意しながら、日本の立場――アジアの戦後の現状を維持しつつ平和と繁栄をはかること――を、広く世界に伝えていくべきだと思います。私のブログの英語欄http://www.japan-world-trends.com/en/でも、ささやかな努力をしております。興味おありの方は、のぞいてみていただければ幸甚です。
 
世界を見ると、オバマ大統領の停滞と言うか迷走と言うか、口だけで実行が伴わないことが最近目立っています。核兵器削減はロシアが乗ってきませんし、シリアは反政府派に兵器を渡すと見栄を切ったはいいが、議会とイスラエルに手を縛られて何もできず、習近平との長時間の会談は「まあ、そう言わずに仲良くやろうな」という中国人の物言いで誤魔化されてしまった感じがします。そして国内では、ヒスパニックの自警団員が黒人少年を射殺した件で無罪となったことが既に数日にわたって反対運動を喚起しており、オバマ大統領は黒人なのに何もしてくれない、何もできない、といった潜在的な印象を広めています。裁判所の判決には大統領は干渉できないので、オバマ大統領にはどうしようもないのですが。

イスラエルとパレスチナの間で和平交渉が始まりそうであることが、一縷の望みではあります。しかし、パレスチナ内部の過激派をこれまで抑えていてくれたと目されるエジプトのモルシ大統領が追放されてしまいましたので、これもちぐはぐな感じを与えます。そうした中で最近の世界では、「中国経済が近く世界一になる。これからは中国の時代だ」という論調が方々で目立ちます。これまでも見られた論調ですが、以前は「もしかすると」的だったのが、今回は確定調で語られています。米国のピュー・リサーチの世論調査も、こうした論調に油を注いでいます。中国の経済が変調を来している今になって、こうした見方が台頭しているのは奇異で、誰かが何かの目的で動いているのでしょうか。

その中国は最近の日本の新聞が書きたてているように、乱脈な金融を引き締め、安定成長路線に移るべく、新政権が必死の努力をしているようです。その中では、国防予算の削減が必須となる、すると軍部が予算確保のために危機を演出する、さしあたり尖閣――そういうシナリオも考えられるわけです。中国は当面、「GDPが世界一」どころの話ではないでしょう。中国の貿易収支黒字は減少し、2012年3月のように赤字の時も生ずるようになっています。外貨準備が激減し、日本やIMFが支援に乗り出さざるを得ない事態も、いつかは起こるでしょう。

ロシアも、これまで保守化、ソ連回帰で突っ走ってきたのが、後述のように変調を来しています。差しあたっては、9月上旬の米ロ首脳会談(モスクワ)が予定通り開かれるかどうか、サンクト・ペテルブルクでのG20会議が成功するかどうか、そしてその直後の8日に行われるモスクワ市長選をめぐって騒擾やテロが起きないかどうか、来年2月黒海沿岸ソチで行われるソチ冬季オリンピックが無事に行われるかどうかが注目点だと思います。

そのロシアは後述のとおり、7月初めウラジオストック沖で中国海軍と中規模の共同演習を行いました。中国は日本海に出口や基地を持っていないので、その軍艦は対馬海峡を通って日本海に入り、宗谷海峡を通って帰国したわけです。中国としては、日米が島嶼上陸のための共同演習をしたり、米韓が常に共同演習をしていることへの対抗措置という思いがあるのでしょう。日本は慌てず騒がず、海峡の守りをしっかりし、有事には敵国艦艇の通過を阻む態勢を整えておくべきだと思います。

そしてロシアは中国との共同演習の直後、極東・東シベリアでこれまででは最大規模の演習を行いました。中国海軍との共同演習で日米を明らかに敵に見立てたロシアが、今度は中国を強く念頭に置いた演習を陸上でしたわけで、やぶにらみの戦略とでも言うべきロシアの「柔軟性」が露わになった一幕でありました。なお、視察に来たプーチン大統領が北方領土にも赴くという観測が一時流れましたが、おそらく彼自身の決断で行かないこととなりました。


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