Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界文明

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2010年11月 7日

左派も実は国家主義

中国やロシアがやたら「国家」を振り回すものだから、日本でもすっかり右派の国家主義者たちが勢いづいた。彼らは国民をあおって、日中、日ロ関係がにっちもさっちもいかないように、意図的に仕向けているのでないか? それで菅政権を追い詰めて、民主党を政権から追い落としたいのだろう。民主党が落ちるのは構わないが、外交を内政の道具にすると危ないことになりかねない。

僕は1960年代、学生運動が激しかったころ(あの頃のキャンパスは過激な「帝国主義」批判を書き連ねたきたならしい「立て看板」がずらりと並び、その横で前の夜学生服のままで寝たのがありありとわかるような活動家がハンドマイクで「われわれはあー、この国家をお―、糾弾しいー」と、まるで今時の女学生のように語尾を伸ばしながらわめいていた)大学に行ったので、どうしても「政府=悪」という考えがどこかに残っている。それに太平洋戦争に日本を引きずり込んだのも過激な国家主義のなせるわざだという考えを教え込まれているから、そんな素直に「国家のために」とか「日本国家を守ろう」とか言えない。

ところが当時学生運動をやっていて、今の民主党政権の中にもぐりこんだ連中は、反国家ではないようだ。彼らは反保守政府であって、自分たちが政権を取った今は(僕は別に彼らに投票したわけではないのだが)国家機構、政府機構を使って自分たちが40年間見続けてきた夢をしゃにむに実現しようとしている。「総理」、「官邸」――かつては糾弾の対象だった憎い名称が、今では自分達の夢を実現するためのバラ色の装置に見えるのだ。ばらまき配分、悪平等、脱米国依存、すべてそうだ。

だが普通の国民にしてみると、どちらの国家主義も困りものなんだろうと思う。前者は個人の自由を抑圧しかねない、後者は日本の安全保障、経済を、子供が積み木箱を床にぶちまけるようにめちゃくちゃにしかねない。

中国やロシアのように「国家」を振り回す国を見ると、共通して国民、個人をないがしろにしていることに気がつく。国民に対して後ろめたいから「国家」を振り回して国民を従わせようとする。日本の右派も左派も、だから、後れた国々のまねをして、国家を人間の上に置くのはやめてほしい。

われわれは「国家を守るために」闘うのではない。われわれ自身の自由と生活を守るために闘うのだ。国家はそのための装置に過ぎない。

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