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世界文明

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2017年8月 3日

モノとカネが無限に増える世界史

資本主義は終わったという議論がある。
この20年ほどの世界的高成長は、一つには中国への生産の移転、中国市場の拡大、そして米国のマネーゲームで支えられてきたので、それが終わりつつある今は、「成長の終焉」と言いたくなってくるわけだ。

米国の経済史家アンガス・マディソンはご苦労様なことに、有史時代の世界の経済成長率を推測した分厚い本を出したことで有名だが、これによると、産業革命まで世界のGDPはほとんど伸びていない。だとすると、中国が伸びきったあとの世界はまた、2000年間の停滞期に入るのか?

いや、そうではないだろう。中世までの世界の経済は生産性が低かった。富=付加価値を創りだすものは農業・鉱業、そして少々の手工業がベースで、これを動かして儲ける商業が加わっていた。これでは、グローバルなパイは殆ど大きくならないので、豊かになりたい者は別の者から富を武力で取り上げてくるしかない。戦争で農地を奪ったり、商業航路を征したり。重商主義の世界。

しかし、産業革命、つまり機械で工業製品を大量に生産できるようになると、話しは違ってくる。人口が縮んでも、国のサイズが小さくなっても、経済成長を実現することはできるようになった。人口が縮んでも、個々人が以前よりもっと賃金をもらい、以前よりもっと消費をすれば、経済成長は続くからだ。

続いてほしい。成長しない社会は息がつまってくる。今あるものを分かち合おう、というスローガンが必ず出てくる。世の中は自分の富を進んで差し出す、いい人ばかりではないので、そうなると当然、公権力が出てきて富を強制的に再分配することになるのだ。

成長する社会でも、米国のように成長の果実を人口の1%程度の金持ちだけが独占するようなことになると、同じく息づまってくるのだが、もうちょっと分配構造が公平な社会では、一人一人の勤労意欲で活力のある社会が実現できる。
「資本主義は終わりだ」などという言葉を聞くと、僕は本能的に自分の財布を抱え込む。

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