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世界文明

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2016年3月17日

新デフレ文明では財政支出拡大を

(これは、3月1日発行のNewsweek日本語版に掲載されたコラム記事の原稿です)

新デフレ文明では財政支出拡大を

年頭から世界の経済は大荒れで、そこらじゅう落とし穴が大きな口を開けている。「物価が上がるという期待感を掻き立て、それで企業の投資を増やさせ、経済を持ち上げる」という安倍政権の政策(アベノミクス)は、物価を上げることさえできず(物価指数に入っていない輸入食品などは大きく上がったが)、デフレの大波をかぶって漂流している。

 産業革命でモノが大量に作られるようになって以来、過剰生産がデフレを起こすことが多くなった。今、この傾向は全ての先進国で見てとることができる。そしてロボットの導入などで生産性がいよいよ高くなると、物価は益々下押しされる。この中で、インフレ率2%を至上の目標に置いたアベノミクスに、向かい風は強くなるばかり。本当の目標はインフレ率より成長率の回復なのだという原点を見すえ、まず需要、消費を掻き立てるべきだろう。

資本主義2.0

 日本は悲観することはない。資本はある。富の基礎であるモノ作りの力はある。問題は、カネが回っていないこと、つまり賃金が上昇しないためにモノやサービスへの需要が増えないことである。これまでの円安で、企業は空前の内部留保を抱えているが、円高時代の悪夢を忘れない。賃上げという長期の負担を負いたくないのである。

需要が不足していても市場にカネがあるなら、そのカネを政府が税金で吸い上げて何か役に立つプロジェクトに使って需要を作り出すのが、一つのやり方。だが今の日本で増税は無理というなら、国債を発行して余剰のカネを吸い上げ、それで需要を創出すればいい。税金と違って国債は、カネの所有権は市場の方に残り、しかも利子までもらえる結構な代物なのだ。

 「国債発行が無限に増えて利払いで予算が破綻する」ことはない。1%強程度の成長を確保するのに必要な政府支出で十分だからだ。それに今のように日銀が国債の殆どを保有しているようなら、日銀に利子を払っても、それはまた国庫に還ってくる

 そして需要創出と言っても、やみくもにカネを配るのでなく、できるだけ波及効果、生活水準向上に役立つものである方がいい。車や電化製品のようなモノの需要は、頭打ちだ。資金を振り向けて生活水準向上に役立つのは、住環境の一層の改善(住宅の大型化。インテリア改善。そして都市近郊の乱開発の後始末として区画整理、道路拡幅。電柱の地下埋設等)、そして個人の遺伝子解析や家事・介護・対話ロボットなど新たな技術が生み出す高収益のモノ、サービスへの支出補助であろう。全国にこれまで作ったインフラは維持・修理費だけで年間5兆円を要すると言われるし、介護のように収益性は低くても不可欠な部門には資金を流して職員の待遇を改善、それによって需要を創出するべきである。 

 資本主義はモデル・チェンジの時代にある。無人タクシーをいつでも呼べるということにすれば、自家用車の数は減るだろう。「所有よりもシェアやレンタル」で済ます部分が増えてくる。今、世界からは紙幣が消えてデジタルでの支払いですべてが行われようとしているが、そうなると当局はインターネット空間での取引を管理・誘導することで金融政策を実施するようになるだろう。ロボットの普及でモノ作りのコストが下がるとともに自動化、迅速化が進めば、「あれが欲しい」と言うと次の日にはそれが届けられる時代も来るかもしれない。つまり経済計画という無理なこと(人間の欲望は予測不可能なので、生産の完全な計画化は不可能である)はしなくても、豊かな社会主義的な社会が実現できるのである。

 日本はG7やOECDの場で、金本位制でもバブルでもない、「人間の生活水準向上本位」の成長モデルを提唱していくべきだ。そしてアベノミクスは金融という矢一本に負担を押し付けるのでなく、財政、そして成長戦略という二本の矢を弓に再びつがえて欲しい。

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コメント

投稿者: 竹本 繁 | 2016年3月23日 10:24

河東さん、ハーバードでご一緒させて頂きました竹本 繁と申します。伊藤忠から行っていました。覚えて頂いておりますでしょうか?確か河東さんは、ムスタングのかっこいい車に乗っておられましたね。懐かしく思い出しました。45年も前のことですが、、、。河東さんの著述、読ませて頂きました。有難うございました。今後、機会がありましたら、一度お目に掛かりたく存じます。090-2620-8991

投稿者: 竹本 繁 | 2016年3月23日 10:24

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投稿者: 竹本 繁 | 2016年3月23日 10:25

河東さん、ハーバードでご一緒させて頂きました竹本 繁と申します。伊藤忠から行っていました。覚えて頂いておりますでしょうか?確か河東さんは、ムスタングのかっこいい車に乗っておられましたね。懐かしく思い出しました。45年も前のことですが、、、。河東さんの著述、読ませて頂きました。有難うございました。今後、機会がありましたら、一度お目に掛かりたく存じます。090-2620-8991

投稿者: 竹本 繁 | 2016年3月23日 10:26

河東さん、ハーバードでご一緒させて頂きました竹本 繁と申します。伊藤忠から行っていました。覚えて頂いておりますでしょうか?確か河東さんは、ムスタングのかっこいい車に乗っておられましたね。懐かしく思い出しました。45年も前のことですが、、、。河東さんの著述、読ませて頂きました。有難うございました。今後、機会がありましたら、一度お目に掛かりたく存じます。090-2620-8991

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