Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

経済学

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2011年7月25日

原発代替についていくつかの誤解

僕はわりと早くから原発撤廃を唱えてきたが、それは毎日の買い物でも眼鏡を出して野菜や肉の産地の細かい活字を読みながらやるのでは叶わん、それにもしまた事故があって日本に住めないようなことになったら、飯の食い上げだと思っているからだ。国を失った人間が、ちょっとぐらい外国語ができるだけで生きていけると思ったら、大間違いだ。
ところで今、原発存続を唱えているお偉方のなかで、ひょっとしてカナダあたりへの移住を秘かに準備している御仁はいないでしょうね? 最近かの地での不動産への引き合いが増えてきたと聞くものだから。

悩ましいのは、菅政権が原発撤廃を自分の旗印にしてしまったために、「原発撤廃賛成」即「政権存続賛成」となりかねないことだ。この政権、一見いいことを言っても、それを実現する人脈、知識、権威を持っていない。国債を垂れ流して、いらない予算をつけるようなことばかりやっている。
これまでも消費税増税とかTPPとかぶち上げては、ダメにした。「原発撤廃」もそんな目に会いそうだ。

原発擁護論のなかに、「原発を撤廃してLNG依存を強めると、ロシアや中東に喉元を握られることになるぞ。ロシアがウクライナに天然ガスを出す、出さないと言って脅かした例をお前は知らないのか?」というようなのがあるらしい。でも、これはおかしい。ウラン鉱石だってナミビアやニジェールのような政権不安定のところから30%ほど輸入しているし(しかも外国で濃縮・加工をしてもらってだ)、これから増えるはずだったカザフスタンからのウラン輸入も、ロシアでの濃縮・加工、ロシア領を通っての搬出を予定していたのだから。

天然ガス(LNG)は輸入先上位はインドネシア、マレーシア、ブルネイで70%弱を占め、中東からのものは20%強に過ぎない。ロシア(サハリン)からのものは既に8%以上に達しているだろうが、ロシアが上得意であるところの日本に対して、その商品を恐喝の材料に使うことはあり得ない。ウクライナはロシアからの天然ガス価格を値切ろうとして料金を払ったり払わなかったりしたので、ロシアはガスを止めたり出したりすることで対抗したのだ。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/1756