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ジョーク

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2023年12月20日

中国官僚の トイレ革命 始末記

(これは11月22日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第139号の一部です)

 「中国の公衆トイレ」は、ひどいものの代名詞だった。扉のない個室。便器の周囲に散らばる排泄物。臭気。天安門前広場の一隅にあった公衆トイレの臭気は、百米ほどは届いていた。

ソ連もそうだったが、「公衆」と名がつくと、皆、自分のものではないと思って大事にしない。役人も、そんなことで評価が下がるわけでもないし、予算もついていないから、トイレの面倒は見ない。掃除人の仕事もいい加減。

筆者は十年以上前、北京の裏町の公衆トイレで小用を足したことがある。後ろは長蛇の行列。先頭の者はもう前をはだけて「捧げ筒」の格好で迫ってくる。これのもたらす危機感は尋常なものではなかった。

だから習近平国家主席は2015年、就任間もなく、「トイレ革命」をぶちあげた。その成果がどうなっているかは、まだ見に行っていないが、11月11日付のEconomistは現状を報じている。

---大都市の公衆トイレは改善されたし、農村地域でもこの5年で5000万以上のトイレが改善されたことになっている。キャンペーンをやれば、官僚たちはその「成果」をちゃんと(作って)報告するものだ。

しかし資金が足りない。2015~2018年、中央政府は1億4000万ドル相当しか出資せず、この20倍以上の予算は地方政府が出すべきものとされた。地方政府はけちって、他の費目に流用するし、請負業者はくすねるから、パイプが劣悪だったり、北方の酷寒地域ではパイプが凍結したり、地方によっては水洗のための水が確保できなかったりで、瀋陽周辺ではこの5年で1億元を使って改善された8万のトイレのうち5万が使用されていない。そして農村の老人たちは、洋式便器になじめず、good old「和式」便器に回帰してしまう---

かくてトイレ革命は、社会主義的官僚主義の欠点をあますところなく示して、便秘状態。同じようなことは、政府主導の中国経済全体でも起きているだろうから、トイレ革命始末記でも大いに参考になるのだ。

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