Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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政治学

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2011年12月19日

米中の間で日本はどうする

日本では、米国を好む者が中国を好む者を大きく上回る、とされている。
だが、TPPをめぐる議論にうかがわれるように、米国に対する異和感、猜疑心は潜在的に大きい。日米関係の担当者たちは、「日本と米国は価値観を共有している」という、普通の人下にはよくわからないことを言って、日米同盟の必要性を証明できたように思っているらしいが、普通の人間だったら、「価値観を共有している」と言われても、何のことかわからない。

日米が価値観を共有しているというのは、たとえば身近な例だと、双方ともなにか組織を作った場合には、その会計報告をしっかりやろうとするのが通例だとか(世界では、こういうのは珍しいのだ)、ものごとは議会で議論して作った法律に則って解決するのが筋で、有力者のさじ加減でものごとを動かすことは非難の対象となることとか、そういうことだ。

日本では親米、親中、自由主義、国粋主義、そしてマルクス主義の残滓などが入り乱れてコンセンサスができる気配もないが、大国の間で揺れ動く国は、かつてのポーランドのように両側から分割支配されやすい。

米軍は有事駐留で十分だ、ということにすると、ロシアや中国が自分にも有事駐留の権利を与えろと要求してきた場合、米国との同盟を失った日本はそれを拒否できるだけの力を持たないだろう。つまり、横須賀は米海軍、佐世保は中国海軍、函館はロシア海軍が「有事駐留」の権利を持つ、というような状況が現れるということだ。

核兵器を持たない日本が完全自主防衛するのは不可能であり、また今日は米国、明日は中国、そして明後日はまた米国というように同盟・提携相手を切り替えていくのも不可能である。同盟・提携相手はいちど決めたら、長期にわたって替えてはいけないのである

僕も中国人に人種的親しみは感ずる。だが日本が日米同盟をやめた場合、日本は中国の要求に屈しやすくなろう。米国には人種的異和感があるものの、他国家の主権を一応尊重すること、法の支配と会計の透明性を社会の基本に据えていること等では、日本にとって中国よりはるかに安心して付き合える相手である。

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