Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

政治学

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2010年6月 8日

どうして政権交代がうまくいかないか

今日の日経で田中直毅氏が長い評論を出している。日本ではどうして政権交代がうまくいかないのかについて。民主党が野党マインドから脱しきれなかったし、メディア、論壇も代替政策を十分議論してこなかったと書いている。

その通りだと思う。でもそれに付け加えたいのだが、日本が実際にはどんな社会でどんな利権がうごめき、政府ではどのようにしてものごとが決まっていくのか(そりゃ、様々で一概には言えないだろうが)、学者も国民も十分に知らされていないことだ。

だいたい書いてはいけないタブーが日本にもいくつかあるし、ごちゃごちゃした現実を説明しても売れるニュースにはいっこうにならない。だからマスコミは英雄的な政治家への待望をあおったり(この複雑な社会を「ひとりの優れた政治家がいれば何でも解決できる」と思わせる)、「利権に巣食う役人が省益のために改革を妨害している」という単純な図式(そういう場合も確かにあるが)を読者、視聴者に投げつけ、煽りたてて稼ごうとする。

そして政治家は、そのようにして作られたパーセプションを操作して芝居をする。ものごとの実相を選挙民にきちんと説明しようとする人は少ない。そんななかでよく割を食わされるのは役人で、すべての悪の根源とされても反論も許されず、政治家の人気取りのための生贄とされる。まあ、天下りして退職金を何回もとる役人も確かにいるので、反論もしにくいのだが。

でも中堅・若手の役人たちに、覆面ででも本音を語らせる場を作ってみたらいい。圧力をかけ脅して種々無理を通そうとする政治家がいたら、彼らの要求の是非を公開で議論してみようではないか。

もっともそんなことをしゃべる役人は、たとえ覆面でも、誰だかわかって、きつい報復を受けることがみえみえだから、しゃべらないのだが。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/1044