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2009年12月12日

第3次日米安保闘争――密教から顕教の世界へ

戦後、10年の区切りには日米安保闘争が何度も起きた。1960年、安保条約を日本に有利に変えたのに、共産党・社会党の動員で女学生一人が亡くなるほどの騒ぎになった第一次。
そして僕が大学を卒業した1970年、大学闘争にもあおられて、日米安保条約の自動延長を阻止せんとした第二次。

そして今度の動きは、60年、70年に恨みを呑んで野に下った旧学生運動の猛者達が見果てぬ夢を声高に語り始める中、起きた。彼らが言う、「有事にだけ米軍が日本を助けに来てくれればいい」というのは、僕にはものすごく甘い期待に思える。

そのことはまた後日論ずることにして、ここで言いたいことは、日米安保条約の御利益が何なのか、政府がわかりやすい言葉で説明してこなかったのではないかということだ。何か米国に言われるとすぐ、「日米安保=必要不可欠」ということで走り出してしまい、説明まで手が回らなかったきらいがある。

その結果どうなったかというと、日米安保はなにか特別の司祭がつかさどる密教の秘儀のようなことになってしまい、米国のためにだけ存在していて、これに日本の特権階層が乗っかっているーーこういう理解を一般に生んでしまった。日本人には、日米安保が自分達のために存在していることが感じられないのだ。

パンドラの箱を開ければ、収まりがつかなくなる。過激な主張が通りやすくなり、米国が過剰に反応したりして、誰も止められないうちに事態は思わぬ方向へ悲劇的な展開をたどるかもしれない。密教なら何をやっているかわからないから分派も出にくいが、一度議論を表に引っ張り出すと分派がまた分派を発生させて収拾がつかなくなるだろうが、もう覆水盆に返らずだ。

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