Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

街角での雑想

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2021年8月 9日

人間 が大事なのだ  ・・・主義ではない

いろいろな議論を聞いて思うのだが、日本は明治以後も、近代西欧の価値観を「お客様」扱いにしたままだ。戦後の「民主主義」もそうで、言葉が先行して独り歩きしている。「欧米でそうなってるから、日本も倣わねばならない崇高な原則」というわけだ。「個人情報を守る」とか、「女性の権利」とか、LGBTとかもしかり。

基本は、すべての人間には人間としての権利がある、プライバシーと自分の尊厳を侵されない権利があるということなのだが、日本の社会では人間を人間としてではなく、その肩書や家柄や年齢で格付けするから、その認識が欠けているのだろう。「個人情報」も、欧米ではプライバシーを守るというごく簡単なことなのに、日本では厳格な法律・手続きになってしまい、煩わしいことこの上ない。

外部から持ち込まれた原則だと思い込んでいるから、自分で按配し、融通をきかせることができない。70%守れば目的を達せられるものを、100%守らないといけないと思い込んで、社会を窒息させてしまう。中世の西欧では、キリスト教会の縛りから外れるために、ルネッサンス、ヒューマニズムの動きが起き、それは18世紀以降の議会制民主主義の成立につながっていく。

ヒューマニズムは日本では人道主義と翻訳されるが、これでは博愛とか慈善に近いものになってしまう。本来のヒューマニズムは、ものを考える時に、教会とか国よりも、個々の人間を基礎に置こうという、「人間主義」と呼ぶべきものなのだ。それは個人主義だ、エゴイズムだ、インテリのうぬぼれだと思うのかもしれないが、西欧では自分だけではなく、他人にも人間としての権利を認め、尊重し合うことが前提になっていて、決してエゴイズムではない

だから、女性登用とか人種の平等とかLGBTの権利については、平等を保障する法制を整備し、あとは個人の才覚と人柄で世を渡って行ってもらえばいいのだ。登用や雇用で枠を作るのもいいが、過ぎたるは及ばざるが如し。逆差別になってくる。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/4112