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街角での雑想

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2021年4月27日

韓国からロシア製コロナ・ワクチンを輸入する羽目になるかも

先日、あるウェビナーで知ったのですが、日本がワクチンを輸入しているファイザーの社長ALBERT BOURLAはギリシャのテッサロニキで育ったユダヤ系、そして取締役達も多国籍だそうで。そもそもこのワクチンを開発したのは、トルコから移住してドイツで働く科学者夫妻が立ち上げたビオンテック社です。それが意味するところは、「ファイザーは米国の企業だから、日米関係を重視する米国政府の意向を汲んでくれるだろう」と思ったら大間違いということです。ファイザーはグローバル、そして損得勘定で考える。

だからファイザーは相手が政府であってもgive and takeで、日本政府が見返りに何を提供するかが判断の基準になるのでしょう。カネだけでは足りません。ファイザーがこれから日本で新薬を売り出したい場合、審査と認可を優先的にやって欲しいとか、日本の役人がとてものめないような条件を出している可能性があります。日経は、ファイザー社長が菅総理との直談判を要求してきたと書いていますが、それは河野ワクチン担当大臣では、厚生労働省の権限に関わることを約束できないからでしょう。

厚生労働省は日本の巨大な薬品市場での認可権限を持っていますから、内外の薬品企業に君臨してきたつもりでしょう。だから当初は、厚生労働省の担当室長がファイザーの日本代表とかけあって日本向けワクチンの入手に前向きの感触を得たのを過信したのでしょう。日本という、役人が威張っている世界しか知らない。外の世界が日本国内とはまったく違う掟で動いていることを知らない。また自分がそれを知らないことも、わかっていない。「三密」ならぬ「三無知」なのかもしれません。

おそらく、ワクチン不足と迫りくる東京オリンピックにパニクって、菅政権はロシアのワクチン、スプートニクVを「分けてくれる」よう、プーチン大統領に懇願することになるでしょう。これは、1960年ポリオが日本でも流行した時に起きたことと瓜二つの構図になります。当時、日本政府は母親たちの圧力を受けて、審査もほとんどせずソ連製ワクチンを輸入し、運よくポリオを鎮めたわけです。

スプートニクVはプーチン大統領も受けていますし、大きな問題は指摘されていませんが、もっと早くから手を挙げていれば、こんな頭を下げて――多分、北方領土問題についてはどうこうという、交換条件がつくでしょう――懇願するというかっこうにはならなかったでしょう。そして日本政府は知っているでしょうか? ロシアは自国ではこのワクチンを大量・迅速に生産する設備が不足しているため、生産を韓国の製薬受託企業Huons Global Co Ltdに発注したことを(4月16日ロイターズ)。プーチン大統領に頭を下げたあと、今度は韓国の関係者に頭を下げることになりかねないのです。
ここまで総理を追い詰めた、日本というシステム。今回、限界を完全に暴露しています。

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