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街角での雑想

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2008年6月 8日

金融の国際化の中でのアフリカ支援ーー資金の海外流出防止を

(これは友人の記者からいただいた一文です。趣旨に賛成です)
                                         
                                                K.J.

エネルギー・資源開発ブームに乗るアフリカには、それに加えてかなり多くの人道/開発資金が流れ込もうとしている。それはそれで良いことだが、中長期的に、アフリカの行く末を考えると少し気になることがある。それは「開発資金」と「その果実」がその後、どこに行くかということだ。農業/インフラ整備のための開発資金の「資本/資産」としてのその先の「流れ」はどうなるのだろうか。

おそらく、アフリカでは今後、海外からの資金で多くのプロジェクトが実施され、それに伴って、海外から短期の投機資金も含めた民間の資本流入が加速するだろう。そしてアフリカで短期的には雇用が増え、「起業家」も育っていくだろう。そこで生まれる地域格差や貧富の格差には目をつぶるにしろ、アフリカ全体としては「金融資産」を持つ「資本家」が増えていくに違いない。今でもアフリカの指導者はおそらく個人的には日本の福田首相よりははるかに「金持ち」だろうから、そういう「金持ち」が今後ますます、増えるに違いない。

そして、今の国際金融メカニズムの中では、彼らの資産は国内に再投資されるのでなく、その多くは旧宗主国などの金融機関に預けられる。その金融機関は「最大利潤」を追求して、世界中の投資先に資金をばらまき、急速に移動させる。今の世界的な「カネ余り」の中で、新たな行く先を探しているこれらのカネは、短期的にはアフリカに流れ込むだろうが、それはあくまで「短期資金」だろう。つまり、アフリカからみれば、自分の負債は援助という形の「長期債務」が数年のうちに「短期債務」に置き換わっていくことになる。

これらの短期資金はいつ引き上げられるか分からない、また、債券化され、投機の波にももまれるだろう。また、最悪のケースを考えれば、アフリカの「金持ち」の資金が、国際金融機関を通じて「穀物」「原油」への投機資金となり、その価格をさらに上昇させることになりかねない。遂には、90年代後半の中南米/東アジアで起きた金融危機が、より大規模な形でアフリカを席巻することになるかもしれない。

それを避けるためには、これからアフリカで生まれる富と余剰資金をアフリカに再投資する「金融メカニズム」が必要だろう。アフリカからの資金流出を抑え、流入をコントロールする仕組みがいずれ必要になってくるに違いない。さもなければアフリカは、開発資金をいつまでも海外資金に頼ることになる。
エンド

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