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街角での雑想

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2016年10月14日

安倍政権、折り返し点   新機軸を

(これは、4日発売のNewsweek誌に掲載された記事の原稿です)

10月6日はワシントンでG20財務相・中央銀行総裁会議、続く7日には同地でIMF・世銀年次総会が開かれる。2012年10月、東京でのIMF・世銀総会を思い出す。この時、日本の財務官僚たちは、リーマン金融危機後の円が投機筋によって不当に高値に釣り上げられていることを指摘、円安に向けて国際金融界への根回しを開始した。そしてその年の12月、安倍晋三氏がアベノミクスを掲げて総理に就任、日銀に財務官僚だった黒田氏を送り込んで「異次元緩和」を演出したのだ。

それから4年、安倍政権は多分今が折り返し点(安倍総理の自民党総裁としての任期が延長されればの話し)。異次元緩和は手詰まりの様相を深め、小池百合子・東京都知事や蓮舫民進党党首にマスコミの注意が向く中、新規まき直しが求められている。

安倍政権はこの4年間、常に前向き、かつひた向きにやってきた。念願の衆参両院での単独過半数も獲得した。しかし皮肉なことに、この有利な状況を使って何を成就するべきなのか、見えなくなってきた。憲法改正手続きを始めると国民投票で負けて退陣を迫られる可能性があるので、目下棚上げ。ロシアとの領土問題は、世論に一致して評価してもらえるような解決は望めない。安倍政権は何か国民にわかりやすく、現実的でありながら夢のある大きな目標を掲げないと、これからの任期はもっぱら守勢に回ることになる。

何があるだろう? 一つには、明るい価値観に軸足を置くことだ。戦前の国家主義に戻るのでもない、経済の活力を奪う分配優先の社会主義を志向するのでもない――二つとも抑圧的だ――、自由で民主的で活力のある社会の構築を目標に掲げてほしい。そしてもう一つは、危なくなる一方の日本の安全――それは中国や北朝鮮の軍備だけではない、トランプが大統領になって米国が更に内向き、あるいは利己的になった時にも日本は危ないことになる――を守れるだけの抗堪性を静かに構築してほしい。

これらすべての基礎となる経済はどうするか? これまでの「2%の物価上昇率達成」は、一般国民にはわからない。ここには、物価上昇に苦しむ普通の人々への配慮がないからだ。目標にするのだったら、「1.5~2%の成長率達成」の方がよほどいい。不足する需要は、国債発行で金融市場からくみ上げた資金を、銀行ではなく個人や法人に直接流すことで補う。それではインフレになるという声もあるが、需要増に応えてモノ・サービスの生産が増えれば、ハイパー・インフレなど起こりはしない。景気が良くなれば税収も増えるので、国債が無限に累積していくこともない。

日本経済の不振は、経営、社内人間関係の在り方が時代遅れになってきたことにも起因する。上下関係で押さえつけて粉飾決算を続けさせたり、下請け企業に負担を丸投げして愧じなかったり、組織肥大で機敏な決定ができなかったりといった欠点の是正が求められる。
そして、外国人が日本企業にもどんどん入り込んでいる今、グローバルに活動できる人材が少ないことは、日本の悲劇である。全員が英語を話す必要はないが、留学や、留学したあとの就職や、海外への就職が容易になるよう、政府・民間が環境を整えるべきだ。

更に現代は、パラダイムが転換する時代。経済でもAI(人工知能)や遺伝子工学、脳波と機械のインターフェース技術などは、文明のあり方をも大きく変える。ロボットの活用による生産性の向上、ドローン等無人機の活用による防衛力の向上等についても方向を指し示し、助成を行っていくべきだろう。日本は技術大国とか言っていい気になっているうちに、これら文明の新次元を切り開くべき技術の開発で、米欧に後れを取ってきている。

これまでの安倍政権は、安保関連法など長年の懸案処理にかまけていた。これからは世界、そして世界史の展開の中での、日本の立ち位置をよく見極め、足らざるところを補うべく、一本哲学の通った有機的・総合的な政策を打ち出し、実行してもらいたい。そうすれば、安倍総理は日本中興の祖として歴史に残る。小池都政もその一環として呑み込んでしまうことができるだろう。
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