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街角での雑想

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2010年7月22日

富山紀行 No.4 富山はものづくりの中心地

富山県の人は自らを「1%の経済」と呼ぶ。それは富山県の人口が120万人くらいで日本全体のちょうど1%、GDPで計ってもちょうど全国の1%くらいを生産しているからだという。世界を見渡してみると、ちょうどスロベニアあたりが富山と同じ規模になる。スロベニアと言えば、絵のように美しい国のようだから、富山にぴったりだ。

そこで日本政策投資銀行が作った「地域ハンドブック」をひもとく。これは日本の各都道府県を一つの経済単位と見立て、それぞれのGDP、他県との「貿易」、その内容までを詳しく分析した、稀有の資料だ。で、それによると富山の経済はまさに日本の1%なのだが、構成に特色がある。製造業が県GDPの30.2%を占めて(但し2002年の数字)、全国平均の20.8%を上回っているのだ。戦前から安い電力に育まれた工業が、今に至るも健在なのである。他方第3次産業は54.1%で、全国平均の65.5%を下回る。

富山は東京への往来は不便なのだが、名古屋近辺とは最近高速道路で結ばれた。世界遺産の白川郷近くを通る東海北陸自動車道で、なんでこんなところに高速道を作るのかと思っていたら、名古屋のトヨタと富山工業地帯、そして伏木富山港を結ぶ意味があったらしい。ウラジオストックを経てシベリア鉄道で完成車や部品をロシア欧州部の工場、そして市場に運び込もうというのである。東北の仙台、山形のあたりもそうだが、今や自動車工場の展開ぶりが全国の高速道整備をかなり方向づけている。

富山県には有力企業がいくつかある。北陸電力は言わずもがな、ファスナーのYKKが有名だが、富山駅近くに威容を見せる高層ビルのインテックも、新時代の企業だ。昭和39年に創業して既に売り上げ1000億円近く、中国にも拠点を持ってコンピューター・システムを開発している。他にも日立国際電気が半導体製造装置を生産するし、パナソニックも大きな拠点を持っているらしい。

ウィキペディアを見ると、ベアリングで国内シェア第4位、タービン工作機械世界シェア25%、半導体ポリッシングマシン世界シェア1位、産業用ロボット世界シェア5位、アルミサッシ生産国内シェア1位、銅製品国内シェア1位、フェロアロイ国内シェア1位などとある。

世界金融危機で富山の経済も沈んだが、金融関係者に聞いたところでは今では危機前の7~8割までに回復した由。手元の資金でやっているので、今のところ銀行による貸し渋りがあってもさして問題ではないらしい。

だが富山駅周辺を中心に、なぜか年寄りの男性が何人も路上生活していた。その背景はわからない。

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