Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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街角での雑想

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2023年7月 7日

「日本」、座礁から脱け出すか

(これは6月28日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第134号の一部です)

 アベノミクスの「インフレにすれば経済は伸びる」と言わんばかりの魔術が今やっと効果を発揮している。「価格を上げる企業は人民の敵」だったのが、「価格を上げる企業は国家に奉仕できているいい企業」と言わんばかりの価値転換。賃金も上がっているから国民は黙っているが、本当は賃上げが価格上昇に追い付いていないので、名目GDPは成長しても、実質の財布は縮んでいく怪。

でも、コロナ終息(これも見せかけなのだが)もあって、なんとなく世間に活気が戻ってきたような。車を運転していると、そこらじゅうの四つ角から別の車や自転車や歩行者が湧いてきて、洪水になりそうな感覚。

 中国の集権経済がしっぽを出して浮かない中、外国人は30年間馬鹿にしきってきた日本株を買い始めた。1990年のバブル崩壊から30年、日本の株価はやっとその30年前の高値水準に戻ってきた。

 一般に一つの国に対する評価、イメージ、あるいはその国の人の自信は、20~30年で様変わりになる。20年前、中国人は日本の経済・社会にまだ畏敬の念を持っていた。とても追いつけない生活水準、自由と民主主義というわけだ。しかしそういう記憶を持たない世代が成人する時が、国のイメージが一変する時となる。中国の若者は西側にコンプレックスを持たず、今や国産品を好んで買うそうだ。ロシアの若者は1990年代の混乱期、ロシア人であることが恥ずかしいと言っていたのが、今は自信を持っている。

(日本外交の上げ潮)
 
 日本は名目GDP成長率が高くなってきたのと相まって、外交的には上げ潮の時期にある。今年はちょうどG7の議長国なので、ウクライナ問題でも何でも「議長国日本」が目立つ。ゼレンスキー大統領の訪日では、世界中の人々が「ああ、日本っていう国、まだ生きてたんだ」と認識したことだろう。西側諸国からのいわゆる「外人」観光客が、円安で空前のブーム。以前と違うのは、「安定し、繁栄し、文化も独自の日本」を楽しみたい、という気持ちが彼らに見えることだ。

「新冷戦」で中国、ロシアが西側からデカップルされることが増えるのに反比例して、政治ても経済でも文化でも日本を再評価する向きが増えている。中国でのようには儲からないが、安心できる(あるいは扱いやすい)商売相手というわけだ。「バングラデシュの海岸に、昔の水島のようなコンビナートを日本企業総出で作る」などという話を聞くと(この前の日経)、当時の急成長の夢をバングラデシュにおすそ分けしているような気がして、本当にうれしい。

中国の一帯一路は相変わらず諸方で顔を出すが、中国が以前ほど簡単にはカネを出さなくなったのは事実。その分、日本のODAへの関心はまた高まる。日本もODAは外交の重要な手段であることを認識して、増額をはかる。

そしてこうした勢いを、天皇・皇后両陛下の外遊開始が締めてくれる。インドネシアでは若い世代の交流を特に重視されていたが、「世界の中の日本」こそ今の天皇・皇后両陛下のブランドになるだろう。
 

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