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日本安全保障

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2024年2月 6日

ドローンが変える現代の戦争

(これは1月末発行のメルマガ「文明の万華鏡」第141号の一部です)

ドローン。米国のpredatorなど大型ドローンは怖い。はるかな高空を長時間徘徊していて、突然ジュピターの雷のごとく、下界のジープなどを精細に爆撃してくる。アフガニスタンでは、このpredatorはフロリダの司令部からの指令で爆撃をしていたとされる(電波でも少し時間がかかるから、本当なのかと思うが)。

しかし、子供のおもちゃのような4基プロペラのドローンでは、火薬搭載量も限られるから、大したことはできまいと思っていたのだが、これがウクライナやガザでは大活躍。戦車や装甲車を時代遅れの無駄者にしている

どういうことかと言うと、ウクライナ軍は小型ドローンを戦線の向こうのロシア軍の上空に飛ばし、戦車や施設の位置を正確に測定すると、後方のウクライナ軍に通報する。するとウクライナ軍は誘導砲やミサイル、あるいは攻撃ドローンを放って、ロシアの戦車や施設を正確に破壊する。だから、ロシアは大兵力を集結して戦線を突破するようなことができない。同じことは、ウクライナ側についても言えるので、ここでは戦争のやり方が根本的に変わってきた。ウクライナ側は小規模の歩兵隊を組織して、じりじりと前進するしかない。

海軍用ドローンも開発が進んでいる。米国は、多数の軍艦が哨戒・攻撃ドローンを運用することで空母を代替する戦法を研究しているし(TERN計画。Tactically Exploited Reconnaissance Node)、 空母搭載のF-35Bも無人化がされるだろう。軍用とは限らないが、海中ではiRobot社などが製造した計測ロボットが、海流を利用した永久稼働装置で日夜多数遊弋している。2012年6月9日付Economistによれば、世界の海には2万ものロボットが潜水しているそうだから、そのうちダイヴィング中に出くわすかもしれない。製造企業はボストンに集中しているそうだ。

水中ドローンは小型無人潜水艦だから、攻撃力を備えると危ないこと限りない。北朝鮮は敵国沿岸で核爆発を起こし、津波で相手を壊滅させる水中ドローンを開発するのだそうだ。ただ、古来から水中ではろくな通信ができないことがネック。現代の潜水艦も、洋上深く潜行していれば、参謀本部からの詳しい指令は届かない。潜水艦は夜間浮上して、宇宙から通信の束を受け取ることになっているらしい。

と思っていたら、水中通信の技術は世界中で開発競争が行われていて、日本の企業もなかなかのものだそうだ。電波が通りにくいから、レーザーを使ったりして。それでも到達距離はミニマムで、本土の参謀本部との通信など不可能。しかし量子のもつれを利用すれば、長距離通信が可能になるのではないかと思う。

いずれにしても、現代技術は戦争の在り方、軍隊の在り方をどんどん変える。現在の最新の中期防にはドローンの整備も重点事項として入っているからいいのだが、これの使い方は戦場、相手の出方によって変わるので、現場でのシミュレーション、演習が必要だ。そしてドローンは保有するだけでなく、相手のドローンを攪乱し、墜落させる技術の開発が非常に重要なので、これも重点事項に加えるべきだ。中期防を一度決めたら5年間変えない、というのは税金の無駄遣い。防衛省、自衛隊にそういう変化をいつも見ている部署を作って、幹部や財務省主計局に直結させ、機敏な対応をしていって欲しい。

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