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インド

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2013年6月12日

苦しい時のインド頼み

日本人は、今のように世界でいろいろ押し込まれてくると、これまで気にかけもしなかったロシアとかインドが急に輝いて見え、一緒にやろうよ、とばかりに駆け寄りがちなのだが、それもずいぶん子供じみた話で、駆け寄られた方が困ってしまう。
例えばインドだ。この国は、中国と張り合っているように伝えられているが、国内はそれで一枚岩にまとまっているわけでもないし、中国との経済関係は非常に緊密である。それに一部で伝えられているように、「安全保障面で中国に完全に押しこめられている」わけでもない。
そこで、ひとつの資料として、印中関係の現状の一端を提示する。

インド洋ではインドが絶対優位

まずインド洋をめぐる力のバランスを見ておきたい。最近、中国が「真珠の首飾り」(ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、モルディブ、セイシェル、モーリシャス等への影響力拡大、パキスタンのグワダラ港近代化等、インド包囲の動きを意味する)でインドを締め付けているとの見方が横行しているが、下記の図が示すように、インド海軍はマラッカ海峡の出口アンダマン諸島に根拠地を置いており、中国海軍を決定的に不利な地位に置いている

また米海軍が根拠地とするディエゴ・ガルシア島は、太平洋で言えばハワイのような戦略的位置にある。ここには海軍及び空軍の基地、海兵隊物資集積施設等が置かれている。もともと冷戦時代、ソ連を標的に設置されたものであろう。
ディエゴ・ガルシアの米軍施設は50年間租借権が2016年に切れる点が問題であるが(ディエゴ・ガルシアは英領。租借権更新のためには、2014年12月までに合意の要)、仮にここから撤退するとしても豪州のスターリング海軍基地、あるいはインド洋上の豪領ココス島が代替として可能である。

画像(2013年 インド洋).jpg

以上の施設によって、中国海軍はインド洋での行動をほぼ完全に封じられている。セイシェル等に艦船を置いたところで、有事にはその補給ができなくなるからである。インド海軍は6万名の人員、70億ドルの年間予算を有するのみで、中国海軍の4分の1、戦力は空母1隻(もう1隻をロシアで改修中)、14隻のディーゼル潜水艦、約20隻の駆逐艦しかないが、インド洋では米海軍に次ぐ規模を持っている。

中国はパキスタンのグワダル港までは、新疆からカラコルム・ハイウェー等を通じて人員・物資を送ることが(理論的には)できるが、グワダル港は実際には民族紛争等で基地としては使えない状況にあるようだ。またカラコルム・ハイウェーはハイウェーとは名ばかり、崖崩れの多い2車線車道のようである。

日本はインドに「反中」のパートナーを期待するべきでない

日本はインドに、「反中」のパートナーを期待するべきでない。なぜならインド国内は中国敵視、親米ということでまとまっているわけでもなく、中印間では定期的な共同軍事演習すら行われてきている。インドは日本を独自の外交ができる勢力とも見ていない。

だから、安保面での日印関係に過度の期待を寄せることは不適当であるが、日本にとって不可欠の環であるとは言える。

インドは反中一辺倒ではないことの証左として、中印の協力関係の実例を列挙するとーーー

① 時にはロシアを入れての首脳会談、外相会談が時々行われている。

② WTO、G20等の場で中印が共闘することがある。

③ 印中経済関係は緊密である。特にインドにとって中国は貿易相手として一位(但しインドの大幅な赤字)であり、耐久消費財の多くを中国から輸入している。ヒンズー教の神ガネシュの土産用彫像さえ、made in Chinaである。インドのITサービス社は中国にも進出している。

中国企業がインドの社会インフラ建設受注の7割をとっている、との報道がある。評者も、デリーの地下鉄工事(日本の円借款案件)現場で中国建設企業の看板を目撃したことがある。

コメント

投稿者: ミャンマー | 2014年10月 4日 17:27

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