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世界はこう変わる

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2013年8月30日

21世紀はプラスサムの世界・・・には結局ならないのか?

シリアとか日中関係とか日韓関係とか、この頃は千年の怨念を引きずったような話が多くて、この先どうなってしまうのかと思う時がある。

でも、つらつら考えてみると、この21世紀というのは、ちゃんとした生活ができる人間の数がどんどん増えていく時代であるべきなのだ。

産業革命までの世界では、世界の総GDPはほとんど成長しなかったので、いい生活をしたいと思ったら、他者の財産を奪うしかないという、ゼロサム経済だった。

ところが産業革命で、商品を大量生産できるようになると、それを売って得たカネが製造者や労働者を豊かにし、消費を一層高めるという、良循環が発生する(プラスサム)。産業革命後、世界のGDPは百倍以上に増えた。

―――まあことはそう単純ではなく、大量生産した商品を北米やインドなどの植民地に押し込み販売して英国は豊かになったのだが、そうやって英国の社会自体はプラスサムになったことは間違いない。

そして21世紀は、富=モノを作りだす装置を、中国やインドが手に入れた時代である。これら新興諸国は急速に豊か、強力になる。先進国は一時モノづくりを大きく失い、弱体化したように見える。その途上で、新興諸国の中には、先進国や周辺国に対する昔の恨みを晴らそうとする者達が現れる。

人間の社会というのは、大多数の人達は生活を良くすることに専念しているが、何かに、誰かに憎しみをぶつけ、自分の不運の責任を全部押し付けたがる者もまたいる。中国でも日本でも、そうした人達が互いへの憎悪を際限なく再生産していく。国に分かれていがみあうのは、本来はおかしなことなのだが。

先進国では、新興国にモノづくりを移転させて、雇用や富が流出したように見える時期がある。だが、これは長い目で見れば、みんなが豊かになる長い過程の、生みの苦しみではないのか? 中国にモノづくりが流出しても、日本の本社からは、中国の工場で使う機械や部品の輸出が続く。日本は、最終製品を中国から「輸入」することになるが、それを日本国内で営業販売するための人員はむしろ増える。機械、部品を輸出していれば、大して貿易赤字にもならないから、円のレートが下がり過ぎてインフレになることもない。

つまり今の世界では、プラスサム思考で行ける余地は大きい。モノづくり精神に欠けたところ、他者に助けてもらうことしか考えない国は例外だが(そういうところは資源の輸出、あるいは出稼ぎに依存するしかない)、21世紀は本来は良い世紀であるべきなのだ。安倍さんも、オバマさんも、是非プラスサム思考でいって欲しい。

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