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世界はこう変わる

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2020年5月 5日

金価格が無限上昇を始める時

(これは、4月22日発行したメルマガ「文明の万華鏡」第96号の一部です)

かつて金は、ものの価値の標準的物差しだった。金の保有額が国力のあかし。そういう金本位制の時代は19世紀半ば以来、ほぼ1世紀続いたが、1970年ニクソン大統領は、IMFの「金・ドル両立制」を実質的に破棄。ドルを米連銀に持ち込んでも、金と定価での交換はしてやらない、と言明した。その時以来、金のドル価格は浮動することとなり、普通の商品として取引されている。

それでも金は、たとえドルが信認を失っても無限に値上がりすることのないよう、国際的なコントロール下にあった。1980年代は米欧の中銀・大銀行のいくつかが秘密のカルテルを結成、それは1999年20程の中銀による「ワシントン協定」(Central Bank Gold Agreement (CBGA))として表に出て4回締結された。これは、それぞれの銀行が定められた分担額の枠内で金先物取引を行い、価格をコントロールするというものである。

しかし2014-19年の第4回協定は機能しなかったし、2019年には更新されなかった(同種のことは諸方に書かれているが、右は10日付のfondsk.ruによるもの)。現在金価格は野放しの状態にある。2008年のリーマン危機後、金価格は2012年までに91%上昇したし、その後一時下がったものの、2019年から現在にかけて22%上昇している。

これを放置しておくと何が起きるかというと、現在の米国の財政赤字、貿易赤字を見て、世界の諸国はドルを放棄、金や円への投機を増やすことが考えられる。金に対するドルの価値は無限に下降し、ロシアや中国などの金保有国が米国の資産を買いたたくことが可能になる。またドルは、基軸通貨として用いられなくなり、それによって米国は外交上の最大の武器である、「お前の国にはドルでの決済ができないようにしてやる」という脅しができなくなる。

金という稀少な商品に投機が集中すると恐ろしいことになる。1637年には、オランダでチューリップ騒動というのが起きた。中央アジア原産、トルコからもたらされたチューリップという珍しい植物への投機が嵩じ、その価格は熟練職人の年収の数倍にも跳ね上がり、そして・・・・・バブルは崩壊したのだ。
今回、調子に乗って金投資を続けていると(僕もそうなのだが)、突然口座を凍結されたり、悪くすると供出を命じられることになるだろう。

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