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世界はこう変わる

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2019年9月 3日

首の皮一枚でつながった 西側同盟体制

トランプ下の世界では、西側の同盟が有名無実のものとなり、米国、中国、ロシア、インドといった「大国」が世界を仕切っていくかのような感がある。大国と言っても、その中で本当に実力を備えているのは米国だけなので、実際には無極、その中で米国だけが「アメリカ・ファースト」と言って全てのチップを独占し、「世界支配」とか他国の安全保障や経済には無頓着どころか、一方的に搾りたてるという体制なのだが。

今回のG7、いよいよ米欧の亀裂が表面化して、トランプがドタキャンしたり、早退することで、世界の「タガ」が外れ、すべての国が自分で自分の面倒を見、自分の力で原油や資源を確保する世界が現出、その中で弱っちい日本は原油の確保にも事欠き、生活水準を劇的に低下させたりするのではないかと危惧していたが、それはなかった。

いつもの長ったらしい、しかし誰も読まない共同宣言こそ出なかったが、マクロン大統領の努力で、米国とイランが首脳会談を開いて、イランの核開発凍結再確認とイラン原油輸入再開で話をまとめる方向が出てきたことは、非常に大きな成果だ。これで、ホルムズ海峡をめぐる有志連合の結成と日本の参加の是非という、難しい問題は当面消えるし、それよりも何よりも、ペルシャ湾岸諸国の原油輸入の安全を確保できたことが大きい。トランプのせいで、日本が電力、燃料なしの石器時代に逆戻りすることもなくなった。

そしてトランプも、環境問題についての首脳会合はドタキャンしたが、それも静かにやったし、GAFAに課税を認めるかどうかでトランプとマクロンの間で公開の口喧嘩が行われることもなかった。GAFAの課税については、OECD等の場でさらに話し合っていくとの趣旨が、短い共同宣言にさりげなく書かれている。

トランプはG7の直前にはデンマークを訪問してグリーンランドを「買い上げ」、G7ではロシアの復帰を決めて大見得を切ろうと思っていたのが、前者は気分を害したデンマーク首相(女性)のビンタ的発言(「そんなの冗談でしょ」)に逆ギレ、デンマーク訪問をドタキャン。G7にロシアを再び入れる件では、「クリミア併合でロシアをG7から放逐したのは米国でしょ。今ウクライナ問題を解決しようという時に、ロシアをG7に復帰させるのは、ウクライナを裏切ることになります」という西欧側の反撃を受けてこれも諦めた。そして米中貿易戦争について、どうも欧州諸国首脳からよってたかって批判を受けたようだが、外向けの発言は(米国での株価を下げないように)ずいぶん抑制されていた。

このように、トランプがわりとおとなしく振舞い、G7からの脱退を宣言したり、席を立って帰国しなかったのは、どうしてだろう? 一つには、下僚から西側同盟をダメにしないよう、G7には絶対行ってくれと懇願されたのだろう。しかしそれよりも、トランプには来年のG7首脳会議を大統領選を盛り上げる道具にしてやろうという思惑が芽生えたからではないか。

来年のG7は米国でおこなわれ、それも大統領選で非常に重要なフロリダ州(大統領選挙人数は29人で、カリフォルニア、テキサスに次ぐ。2016年選挙ではトランプはフロリダ州で1.3%の僅差でクリントンを破っている。これが引っ繰り返ると、トランプは危なくなる)で行う。ここにプーチンも呼んでやれば、選挙対策上もばっちり。こういう算段があるのだろう(プーチンは嫌がっている。G8ではロシアがいつも味噌っかす扱いだったことを覚えているし、おめおめと復帰してもonly to be ousted againということはよく心得ている。しかも準同盟相手の中国に、裏切りをなじられる、というわけだ)。まあ、いずれにしても、来年G7までは米欧同盟、G7も安泰、日本でも停電は起きないし、宅配便も安泰というわけだ。

しかし環境・核拡散といった重要な問題について、何も宣言・声明の類を出さないG7というのは、(そんな文書は誰も読まないにしても)神輿の出ない祭りのようなものだ。来年はトランプが議長なので、一体全体どういうことになるのか。チア・ガールと鼓笛隊で大騒ぎの中、首脳達はプーチンも一緒にゴルフ三昧で終わり?

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