Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2018年12月26日

ばらける世界

トランプがマティス国防長官を事実上更迭したことで、米国を核とする世界の同盟システムはほどけ始めました。そんなこんなで株式市場も大暴落で、円高はアベノミクスを逆回ししていくでしょう。そして、来年10月の消費税引き上げはおそらく延期になるでしょう。2020年夏の東京オリンピックを果たしてちゃんと開けるのか。現在の状況はそこまで切羽詰ったものになってきていると思います。
本日、有料メルマガ「文明の万華鏡」の第80号をまぐまぐ社から発行しました。その冒頭がちょうど、今の時勢についてのコメントになっていますので、ここにペースト致します。
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まえがき
 
丁度、年末と第80号という区切りのいい数字が重なることになりました。このメルマガも発刊してもう7年程になります。続けるのは大変なことでした。この間、ご愛読、励ましをいただきありがとうございます。
年末ですので、講談社のネット雑誌「現代ビジネス」で混迷を極める現在の世界の模様を解剖、また26日発売の日本版Newsweekで来年の日本の抱える課題について論じております。
また年頭には、京都のかもがわ出版から「激変の北東アジア、日本の新国家戦略」という共著本が出版されますが、その中で朝鮮半島の統一までを視野に据えて、日本の外交と安全保障政策について論じております。これは他の数名の官僚OBと上梓したもので、出版社は「忖度しない官僚はこんなに大胆で柔軟な提言ができる」といううれしい言葉を表紙に書いてくれております。いずれもご笑覧いただければ幸いです。

(トランプ、世界、どちらが先に駄目になる?)
 今、関心を持っているのは、トランプ大統領がめっきり勢いを失い、マイナスばかりが目立っていることです。株価大暴落を初め、世界崩落の様相が現れ始めています。マティス国防長官の事実上の更迭で、米欧、日米同盟体制も急速に「ほどけ」始めている気がします。トランプは、同盟が米国にとっても重要であることを理解できず、これまでマティス長官が一人で支えてきた面が強いからです。来年は、崩れるのは「トランプが先か(つまり弾劾の動きが出る)、世界が先か」、という状況にもなりかねないと思います。

弾劾と言えば、ニクソン大統領の場合が思い浮かびます(弾劾される前に自ら辞任して、恩赦を受けています)。彼はベトナム戦和平を達成し、1973年1月に2期目をスタートさせた時は支持率68%で得意の絶頂でした。しかし同2月には上院で、ウォーターゲート特別委員会が設置され、ここに彼の執務室の録音テープを提出する、しないの争いになって以降は、同年10月の「土曜日の大虐殺」(命令に従わない法務関係の重職者をニクソンが次々に更迭。因みにこれは、石油危機勃発の直後)を経て、半年後1974年8月9日のニクソン辞任に至るわけです。

そして米国経済は1973年11月から1975年3月までの間、景気後退に見舞われ、1975年5月には米国の失業率は9%に達しています。問題は、この景気後退はウォーターゲート事件に伴う政治の麻痺によって起こされたものかどうかということです。もしそうであれば、今回トランプの場合にも、政治の麻痺が景気後退を起こす可能性があるでしょう。

 しかしニクソン期の景気後退は、ウォーターゲート事件と直接の関係はないようです。1973年10月までは、株価もニクソン大統領就任で始まった上昇傾向を続け、GDPは1972年6.9%、73年4.02%(74年はマイナス1.95%)伸びています(http://www.multpl.com/us-real-gdp-growth-rate/table/by-year)。つまりこの時の景気後退は1973年10月始まった石油危機によって引き起こされたもので、ニクソンの辞任事件と直接の関係はなかったと言えるのでしょう。

 では、今回は石油危機に類するショックはあり得るでしょうか? 今、一番蓋然性があるのは、内外の諸要因が複合して不況、あるいは最悪の場合、世界での経済取り引きが大きく停止するような、リーマン危機を上回る瓦解が起るかもしれないことです。リーマンの時は中国が内需を拡大して、世界の経済を下支えしてくれましたが、今回は中国も共に下降要因となります。

これまでの金融大緩和の中、米国企業は低利で社債を発行しては、得た資金で自社株買いをしてきましたが(世界の社債残高は12月21日付日経によれば24兆ドル)、連銀FRBが利上げを繰り返す中で社債価格は急落し始めており、企業によっては社債の償還ができないデフォルトの状態に陥ることも出て来るでしょう。これが金融不安を呼び、2008年の時のような金融危機を起こす可能性も指摘されています。この景気後退(あるいは崩落)が起きますと、トランプはもはやこれを連銀とか民主党の所為にしきれず、共和党もトランプ弾劾に踏み切る可能性があります。

日本では、この危機が「アベノミクスの逆回し」を生み出し、円高とデフレ・スパイラルが蘇り、政権が崩壊するか、あるいは逆に安倍政権が経済危機を奇貨として10月の消費税引き上げをまた延期して、夏の参院選挙も乗り切るか、分かれ目となるでしょう。

(中国が崩落する時)
 あともう一つ、大きな関心を持っているのは、中国経済・社会情勢の成り行きです。中国経済と言うと、深圳とか成都とかの盛況、活気しか伝わってこず、「これでは日本はもう駄目だ」と思ってしまいがちですが、この二つの都市の企業たちは中国経済のエンジンと言うよりは、輸出の伸びと中国経済の成長に乗っかって発展してきた付属物ではないでしょうか? 中国経済は全体として、深刻な危機にあると思います。

と言うのは、これまでの中国経済の成長を支えてきた外国からの資金の流入がこれから大きく減少するだろうからです。2017年でも貿易黒字は5100億ドルの多額に上り、うち約半分は対米貿易黒字でした。これが大きく減少するだろう上に、「中国の低賃金を使って組み立てた製品を米国に輸出する」というこれまでのビジネス・モデルが、トランプの関税引き上げのせいで将来性を失ったので、中国に工場を作る動きは強くブレーキがかかるでしょう。

対米貿易黒字と外国からの直接投資の減少は、ざっと計算して年間4000億ドルにもなるでしょう。これは中国のGDPの4.5%に相当します。つまり中国はこれから、ほぼゼロ成長になる可能性があるのです。中国では毎年、800万名を越える大卒者が出ます。彼らがろくな職にありつけなかった場合、1989年の天安門事件のような騒動が大いに起こり得るでしょう。パリで最近起きた騒動を、中国の青年や大衆は、テレビやインターネットで見ているでしょうから。中央電視台のテレビ・ニュースは、国際関係では日本のテレビ以上に詳しいものになっています。政権内部の動きについてのニュースは皆無ですが。

以上、2019年は第2次世界大戦後の世界体制が、ガラガラポンで利益、力の再配分が行われる時なのではないかということです。それは戦争を伴わないかもしれませんが、戦争があったのと同じような生活の悪化をもたらすかもしれません。
以下、年末ですので、今の世界の底流トレンド、問題点を少しまとめてみることにしたいと思います。

目次
中国はまたポシャルのか?
諸国は無用な敵対・歴史の恨みを克服できるか?
自由・民主主義は不滅の価値観か?
第4次産業革命時代の経済理論
石油文明・原発依存からの転換
米国の退潮・退場
(米国退潮と日本)
(日本社会の根本的変動)
(左右両極端を避け、中庸を)
今月の随筆:米中の経済戦争はたとえると・・・
今月の随筆:70才前後の男性でも募集はある
今月の随筆:全米総立ちで喝采をうけたものは

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