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2017年10月11日

北朝鮮にとっての真珠湾は日本?

(これは、3日付日本版NEWSWEEKに掲載された記事の原稿です)

 ドナルド・トランプと金恩雲、今どきの国際政治の2大スターは互いに罵詈雑言、果てしがない。今や外国との経済・金融関係の大部分を止められた北朝鮮は、ABC包囲網に締め上げられた戦前日本と同じく、「真珠湾」奇襲に起死回生を賭けるだろうか? 当時の真珠湾の艦隊に相当する米軍の大戦力は、今はグァム島の爆撃機群だ。北朝鮮がここを奇襲し、米軍は直ちに報復。在日米軍基地からも軍艦、戦闘機が進発する。その時在日米軍基地は、北朝鮮からの攻撃対象になるだろう。

 朝鮮戦争の時日本は、半島で戦う米軍に、文字通りの基地として使われた。その後1960年の日米安保改定で、有事の際には日米は相互協議をすることとなった。別の言葉で言えば、在日基地から進発した米軍が北朝鮮で作戦行動を取ることについて、日本はノーも言えるのだ。そんなことをすれば、日米安保は崩壊するか? 多分米国内では日本非難が巻き起こるだろう。

それでも、米国は自ら日米安保を破棄することはするまい。2003年のイラク戦争で、トルコは米軍が国内の基地を足場として使うのを許さなかった 。米国内では大変な不満が渦巻いたが、NATOの一員、米国の同盟国としてのトルコの地位は揺るがなかった。イラク戦争がNATOとしての作戦ではなかったからと言うより、中東と欧州の間に位置する大国トルコは、米国が簡単に捨てられない戦略的価値を持っているからだ。日本も、アジアにおいては米国にとって、トルコに勝るとも劣らない価値を持っている。もっとも、日本はトルコよりはるかに多く経済・安全保障面で米国に依存しているので、米国は何か報復措置を取ってくるだろう。日本はあまり調子に乗って米国に盾突くと、危ないことになる。
 
振り上げた拳を下ろさせる

 しかし北朝鮮は、「真珠湾奇襲」はできまい。真珠湾の米艦隊を叩けば暫し米軍を麻痺させることのできた戦前とは違って、現在では北朝鮮がグアム島の米軍爆撃機を撃滅しても、代わりはまたすぐ飛んでくるし、空母艦隊、そして海兵隊の有する打撃力も北朝鮮を圧倒する。23日に米軍爆撃機編隊が北朝鮮東海岸の領空近くを威嚇飛行した時、北朝鮮が何もできなかったことが、その証左である。北朝鮮は困っているに違いない。

 しかし、事態を収拾するとっかかりが一つある。世界は、今回のトランプの国連総会演説に呆れているが―1960年ニキータ・フルシチョフ・ソ連共産党書記長が脱いだ靴で演壇を叩きつつ米国をなじったよりはましだが―、実はこの中にヒントがある 。それは「米国は自分の生き方を他国に押し付けることはしない。むしろ皆にモデルとして仰ぎ見られるような存在になることを目指す」という箇所なのだが、これは海外の独裁国を「レジーム・チェンジ」で倒すという、いわゆるネオコン的政策からの訣別を意味するのである。

2000年代、共和党、民主党双方の傘下団体も含め、米国の官民組織が海外での「民主化」運動、そして「レジーム・チェンジ」をしかけてきたことがウクライナや中東で不毛の混乱を招き米国の負担を増してきた、というのがトランプと一部側近の持論で、トランプの対ロシア宥和政策の背景も成している。ラヴロフ外相が、今回のトランプの国連演説を高く評価している所以である 。

々北朝鮮の問題は、スターリンが金日成を煽って韓国に侵攻させたことに発する。朝鮮戦争は停戦に至ったが、北からの圧力を撥ね返すために米国と韓国は常に策動、北はこれを「レジーム・チェンジの策動」と受け取って自衛行動-核開発―を取る。悪循環が生じているのである。だから双方がレジーム・チェンジの試みを互いに放棄することを宣言、同時に北の核兵器削減に比例して制裁も解除して経済関係を進めることを合意すれば、トランプ、金恩雲、双方の面子も救った上での収拾が可能となろう。

見回してみると、北朝鮮核開発問題をめぐる6者会合メンバーの中で、日本が仲介者として一番ましなのでないか? 安倍総理が基本方針を発言、河野外相がそれに沿ってシャトル外交を展開する。同時に拉致問題についても前進のメドをつける――こういうことをやれば、日本外交も世界で見直されると思うのだが、どうだろう。

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