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世界はこう変わる

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2017年10月 5日

ロボットは共産主義・計画経済を可能にする?

また総選挙。「もっと分けて欲しい」という声が盛り上がる時。それはいいが、「計画経済」への幻想だけは捨てて欲しい。というわけで、これは先月のメルマガ「文明の万華鏡」の一部。

ロボットがモノを作り、AIがその生産を指揮するようにすれば、モノの生産原価は下がり、共産主義社会(「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」がマルクスの定義だが、ロボットがモノを作るなら「人は(働かなくとも)その欲望に応じてモノを受け取る」社会になる)が実現しかねない。もっとも、本当に共産主義が実現すれば、政治も必要でなくなり(政治とは足らないモノ、カネを分配すること)、共産党もいらなくなるので、共産主義者は簡単には喜べない。

ことほどさように、共産主義をめぐってはいろいろの概念がこんぐらがっていて、面白いことになっている。例えば中国の電子取引大手の「アリババ」の会長、ジャック・マー氏は最近、集権経済の好きな習近平に迎合してか、「高度の生産力とAIを組み合わせれば、計画経済も可能になるだろう」という趣旨を言った。これは自己矛盾の発言なのだ。と言うのは、計画経済と言うのは、モノが全体に行き渡っていない未発達の経済において、モノ、カネを最大限効率的に使うために強制配分するということを意味するのだが、ロボットで生産力が無限に近くなれば、強制配分の必要はない。「欲しがるだけ手に入る」という社会なので、計画は不要なのである。

そして経済の多くの部分は、計画できないものである。日本でも、格差を是正するために計画経済、あるいは強制配分的なアプローチを主唱する人たちがいる。しかし、無数にあるモノ、サービスのすべてを相互に関連付けて1年先の生産量を決めておくことなど、できない。スパコンができたからできる、と言うかもしれないが、肝心の人間の欲望というものは刻々と変わる。1年先の需要など予測できないのである。

更に、すべての資源を計画で貼りつけてしまうと、技術革新や競争は不可能になる。ベンチャーが何かを発明してそれを生産しようとしても、カネ、材料、部品を手に入れることはできないのである。格差是正、民主主義を標榜する人でも、心の中に強権志向を秘めている人たちがいるが、計画経済というのはそういう人たちにぴったりの道具なのだ。

僕は大学の卒業論文(と言ってもレポートに毛もろくに生えていないようなもの)で、公文俊平、佐藤経明両御所の指導を受けて計画経済をテーマにしたし、ソ連に住んで、その崩壊も目のあたりにしたので、このあたりの所見は理論と事実に裏付けられたものだ。
(ソ連経済の実態は、嵯峨冽のペンネームで出した「ソ連の試練」(サイマル出版会)に詳しく書いてある。アマゾンで古本が安く入手できるのでお読みいただければ光栄)
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