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世界はこう変わる

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2017年9月 3日

米国の白人至上主義は、これまでのしわ寄せへの反発

8月12日、米国南部のシャーロッツビルで「白人至上主義」者とリベラルの衝突があり、前者が後者の群衆に車で突っ込んで白人女性1名を殺した事件があった。これについてトランプ大統領がスピーチをした中で、白人至上主義者を名指しで非難せず、「諸方面の暴力」を非難したことで、リベラル系マスコミは一斉にトランプ非難の声を上げた。

僕も白人至上主義者が嫌いで、「もう米国に彼らの居場所はないから、昔清教徒が乗って英国からやってきたメイフラワー号にまた乗って、トランプでも船長にして、最後の白人帝国ロシアにでも移住したらどうか」とツイッターした。すると、ロシアの白人の友人から「やめてくれ」というコメントがあった。今やロシアの方がよほどリベラルに見える時代。

しかしこの米国の白人至上主義、時代遅れだと簡単に笑い飛ばすことはできないようだ。というのは、シャーロッツビル事件の直後、8月17日のインターネット上の世論調査Surveymonkeyというのによると、シャーロットビルでの衝突の責任は白人至上主義者、リベラルの双方にあると考える人たちが全体の40%にも上っているそうだからだ(白人至上主義の右翼の側にのみ責任があると考える人たちは全体の46%)。

これは、米国の社会の断裂が随分深く、深刻であることを示す。1960年代後半から黒人の市民権運動や女性のウーマン・リブ(女権向上運動)が盛んになり、affirmative action(黒人を大学入学等で優遇する制度)が展開された結果、黒人やその他少数民族の地位は向上したし、公衆の面前で差別用語を言うとすぐ排斥される、political correctnessという言葉が幅を利かせるようになった。このしわ寄せを食ったのは、それまで最も多くの権利を享受してきた白人の男性だったのだ。

僕が2004年頃出版した「意味が解体する世界へ」(草思社)は、欧米社会が教養水準の低下や多民族化の中、それまでの個人主義、自由・民主主義を失いつつあることを描いた随筆集だが、その中で米国について以下の箇所がある。ここに書いてあるように、米国の白人男性は今、キレている。彼らが求めているのは、昔黒人に与えられた優遇措置affirmative actionを自分達にやってくれということなのだ。

――でもその頃(2050年)のアメリカは,その頃の「アメリカ人」は,今とは随分違ったものになっているだろう。昔主流だったアングロ・サクソン的なピューリタン,プロテスタント的な価値観はホーソーンの「緋文字」にもあるように随分と偽善的,独善的なところもあったけれど,その先取性とチャレンジ精神,必要に応じて迅速に制度を変えていく果敢さ,特権と腐敗を憎む禁欲精神・・・そうでないこともわりとあるが・・・,他人に干渉しないリベラリズム,こういったものはもう埋没していくかもしれない。
これまでじっと我慢してきた白人の男性も,地歩を失っていくのにいつかはキレて,スキンヘッドとまではいかないとしても保守的な方向に政治を曲げようとするかもしれない。そしてその頃には大都市の街路は先進国というより開発途上国のように雑然とし,人々は馴れ馴れしく狭量でエゴイスチックになっているかもしれない。アメリカがそうなったら,寂しいことだ――。

これは2050年頃のことを予想しているのだが、2017年の今、早やそうなってしまった。問題は白人至上主義者の狭隘な主張よりも、白人全体の権利に関わることになっている。真剣で公平な対応が必要だ。
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