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世界はこう変わる

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2017年6月15日

メルケルがアメリカ離れだって?

ドイツのメルケル首相はG7サミットでトランプ大統領と環境問題などで言い合いをした後、国内の政治会合で演説、「もう米国には頼れない」と言ったことになっている。この不完全な引用をもとに、米欧離間についていろんな記事が出ているが、ちょっと原文を点検してみたらいい。

"Die Zeiten, in denen wir uns auf andere völlig verlassen konnten, die sind ein Stück vorbei. Das habe ich in den letzten Tagen erlebt" が彼女の言葉で、これは「他者(複数)に完全に依存できた時代は、部分的には終わりました。それは、この数日(トランプとのやり取りで)私自身、体験したところであります」という意味。彼女は更に、「我々ヨーロッパ人は、自分達の運命を自分達の手に収めなければなりません。我々は、自分達の生活(運命)のために自分達で闘わなければならないということを認識せねばなりません」と続けている。

これは、トランプ米国への訣別宣言ではない。米国がこれまでNATO欧州諸国に求めてきた国防費増強(GDPの2%が目標)をドイツ世論に納得させること、同時に秋の総選挙で連立野党SPDが反米思潮をかきたてて票を稼ごうとしていることの裏をかくこと、の2つの目論見が底にある発言である。

トランプ政権について言うなら、これがNATOとか日米同盟を好い加減に扱う政権と見なすことは適当であるまい。トランプはラジオのトーク・ショーを長年やっていた人物であり、既存の権威をこきおろしては――破壊するのではない――喝采を得るトーク・ショーを今でも続けている面がある。しかし、米国の戦略的利益は、議会(予算権を握る)、ドル体制と連銀、国防省と米軍、そして国務省を中心に確固として保持されているのである。

今後もトランプ大統領は、中国と「取り引き」して日本を将棋の駒扱いする時があるだろう。しかしそのようなことはトランプ大統領の前にもあった。日本はそのような動きには抵抗しつつ、今やっている通り対米直接投資を充実させ、ドル価値の維持を助け、一方自主防衛能力は拡充しながら、日本を守る米軍とは共同作戦する体制を充実させていけばいいのである。
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