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2017年6月 1日

米国政治の病根

(これは5月24日まぐまぐ社から発行したメルマガ「文明の万華鏡」第61号の一部です)

「どの国の外交も、国内の利権や圧力で動かされるものだ。ただ米国は、戦後の世界の秩序を司って来たので、あまり国内の都合だけで動かれても困る。しかし、今の米国はまさにそういう状況になっている。トランプとその家族自身、家業のビジネスを通じて中国やサウジ等に入れ込まれているし、共和党は米国の精油部門を握る大富豪Charles とDavidのKoch兄弟(コークと発音するのだそうで。Koch Industriesは上場されていないが売り上げは年10兆円以上。石油精製・輸送部門が大きい。Economistによれば、2012年大統領選では4億ドルを共和党に献金している)が多数の議員の金づるとなって、「小さな政府」(要するに法人の税負担を下げることに目的がある)を実現するためなら何でもやる。

民主党も、この前の大統領選挙ではヒラリー・クリントンがウォール・ストリートの金融資本に擦り寄り過ぎて、それでプア・ホワイトの票をトランプに取られてしまった。

米国の政治はカネがかかる。コンサルタントとかPR会社がよってたかって、政治はカネがかかるようにしてしまったのだが、その中では選挙戦の際のテレビ・コマーシャルが最もカネがかかる。だから昔から米国の政治家はカネづるを求めて走り回っていたのだが、これが2010年に議会が可決した「スーパーPAC」で根本的に変わって来た。これは、実質的に政治献金の上限を取っ払ったもので、2010年11月中間選挙での共和党大躍進を助けた。「小さな政府原理主義」とも言うべき「茶会派」が共和党内で台頭したのはこの時で、この茶会派の運動は2009年に発足している。茶会派の後ろにはKoch兄弟がいるのである。

代議士、政党――これは19世紀英米で形成されたシステムだ。政治家は、国民一人一人と政府の間の伝達管だし、政党は意見を集約して物事を決定しやすくするための装置である。この二つの機能、つまり世論集約・広報、そして政策決定は、政治家と政党というカネに弱い、そして今のITやAIの時代には少々時代遅れになってきた装置でしか実現できないのだろうか? 特に米国の場合、共和党、民主党の間の泥仕合が世界中に迷惑をかけているだけに、強くそう思う。

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