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世界はこう変わる

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2017年3月18日

ロシア人まで気がついた中国経済の変調

(これは2月22日にまぐまぐ社から発行したメルマガ「文明の万華鏡」の一部です)

ロシアに「独立新聞」という新聞がある。ソ連末期、トレチャコフという敏腕記者がモスクワ市のカネを引き出して創刊した、ソ連初の民間紙だった。クォリティー・ペーパ―でもあったわけだが、ペレストロイカの旗手として活躍したあとは、ロシア経済崩壊に巻き込まれ、トレチャコフは経営権を奪われた。それでも、今でも準クォリティー・パーパーとしての格は維持している。

その独立新聞が2月6日、O.ソロヴィヨヴァなる女性記者が書いた記事を掲載、中国における公的債務の急増に警鐘を鳴らしたのである。中国では財政赤字が急増して現在GDPの4%分にも達しており(30-40兆円のオーダーになる)、これを穴埋めするために国債発行が急増している、というのである。

この数年、中国で地方政府の債務や国営銀行の焦げ付き融資が急増していることは何度も報じられている通り。何度もバブルの崩壊と中国経済の暗転が予測されながら、破局は起きてこなかった。ロシア、あるいは中国といった旧社会主義国では、公的資金とか国営銀行による融資は「返さなくてもいいカネ」(中国では、「カネを貸すのは愚か者。そのカネを返すのはもっと愚か者」という格言がある)なのである。国営銀行が国営企業に融資するのは、政府部内で資金をつけかえるのと同じで、別にもとに戻さなくても構わない――こういう発想なのだろう。

しかし独立新聞が指摘しているように、国債発行が急増しているなら、深刻度は少し違うかもしれない。こう思って調べてみると、本当に中国での国債発行はこの数年急増していて、中央・地方政府及び国営銀行による債務残高総額は中国GDPの45%強分に相当する。日本では、この数字は約250%である。

これは、中国でのバブルの崩壊、デフォルト、金融危機を招くだろうか? 折しも米国では経済が過熱寸前で、これからは利上げが何回も行われるだろう。それが過度のドル高を招かないよう、トランプ政権は中国にも利上げを求めるだろう。そうなると累積した国債への利払い額が急増し、中国政府は財政危機に直面、デフォルトを宣言して金融危機、経済崩壊――こういうシナリオが可能となる。

しかし本当にそのようになるだろうか? それは、中国の国債を誰が保有しているかに大きくかかっている。日本のように国債の多くを中央銀行などの政府機関が保有しているのなら、増えた利払い分の紙幣を中央銀行が増刷して政府に渡し、次に政府から利払いの形でその紙幣を回収、そのまま「国庫に返還」すれば差し引きゼロでマクロ経済にはさして影響もない。こういうことが可能になるからである。

もしそうであれば、中国政府は日本政府の真似をしているのかもしれない。両国の財務省、中央銀行関係者の連絡は緊密で、「財政赤字のハウハウ」についても日本の例は中国に十分伝わっているに違いない。

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