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世界はこう変わる

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2016年2月 4日

世界は新たな米ロ核競争に向かうのか

新冷戦? 核兵器近代化?

(これは、1月27日発行のメルマガ「文明の万華鏡」よりの抜粋です。全文はhttp://www.japan-world-trends.com/ja/subscribe.phpでご覧ください)

オバマ大統領は就任早々、核廃絶を目標として掲げ、3月31日にはワシントンで第4回核安全保障サミットを主宰しようとしている。しかし彼の任期のこの7年間、主要な成果はメドベジェフ大統領との間で締結し、2011年に発効した「新START条約」で、戦略ミサイルの核弾頭数を相互に1550以下まで削減する(それまで6000)ことを決めた程度、しかも最近ではロシアはこの核弾頭の更新・増強に努めて、一時1400まで減っていたのを(2014年9月)、昨年9月には1648に盛り返している(米国は1538)。新START条約の有効期限は2021年で、それまでにこれの延長を決めるか、それとも一層の削減を決めるかしないといけないのだが、最近では米国側でも核兵器の「近代化」(超小型化)議論が出ているし、中国も核ミサイル増強の構えを示しているし、北朝鮮は水爆を実験したと称するしで、核廃絶はどこかに飛んで行ってしまった。

ペリー元国防長官は昨年末"My Journey at the Nuclear Brink"を出版、核軍拡競争が始まろうとしていると書いた。昨年12月16日、Katrina van den Heuvelはワシントン・ポストに、国防省はこれからの30年間で1兆ドルを費やして新世代の核装備を開発する構えでいると書いた。そして米国は、欧州に配備している約200の戦術核弾頭を新型のものに更新しようとしている。ロシアの方では、6000マイルも潜航して敵の海岸都市湾口で水爆を破裂させ、大津波を起こす魚雷を開発するのだとか何とか(そんな長距離を潜航できるエンジンはあるのかどうか知らないが)報道をしている。

この様では、3月の核安全保障サミットでかっこうをつけるのは難しかろう。もしかすると、日本が溜めに溜めたプルトニウムの一部廃棄を約束させられるような破目になりかねない。

日本としてやってもらいたいのは、中国の核軍縮である。もう一つ、ロシアがシリアで「実験」してお披露目した射程5000キロもの巡航ミサイルに核弾頭が搭載されるのを防がなければいけないという問題がある。これは、ロシア本土から日本に撃ち込むことが可能なもので、かつて1980年代散々米国に働きかけて阻止してもらった、極東地方へのソ連中距離核ミサイルの配備を裏から実現するものになってしまう。ロシアに巡航ミサイルを配備するなと言っても、聞く耳は持つまい。ロシアは日本より米国を念頭に置いて動いているからである。従って、中国にせよ、ロシアにせよ、両国の核兵器に対しては米国の核の傘をもっと良いものにしてもらう、つまり巡航ミサイルのトマホークに核弾頭を装備するなど、抑止力を整えてもらうことが必要なので、そう簡単に核廃絶というわけにはいかない。
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