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世界はこう変わる

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2015年10月13日

リベラルの世界的後退

(これはメルマガ「文明の万華鏡」第41号からの抜粋です)

 僕が2004年に出した「意味が解体する世界へ」(草思社)という有名・・・ではない本は、この400年の世界、そして明治維新以降の日本でスタンダードとなっていた自由・民主主義の理念が、先進国で進む多民族化、そしてイラク進攻等、米国の「力による民主化」の動きのために擦り切れてきたことを書いている。その後リーマン・ショック後の経済困難、中産階級の困窮を経て、このトレンドは大きく広がり、今や流行の話題となってきた。これから2年程、世界中のシンポジウムはこの「意味の解体。理念の相対化」というテーマを弄んでいくことだろう。

米国大統領選では、民主党の有力候補としてバーニー・サンダース上院議員の名が語られることが多くなっている。彼は、市民運動出身。典型的な「投資より分配」派である。

共和党で今異常な人気を博しているのはドナルド・トランプ。この頃の米国はpolitical correctnessと言って、異人種、異性、異年齢・・・要するに誰も傷つけてはいけないという配慮が強すぎて、ものも自由に言えない。これまで黒人や女性や日本人に譲らされる一方だった(と彼らは思っている)白人男性たちが一番、物も言えず腹膨るる思いだったのが、トランプはあっさり彼らの言いたいことを代弁し、胸のつかえを取ってくれるのである。そこには、(白人男性以外の)自由、民主主義への配慮はない。

そして英国では、ブレアあたりからめっきり右寄りの経済政策を標榜してきた労働党が先祖がえりをして、石炭企業の一部再国営化など「投資より分配」路線のジェレミー・コービンを党首に選んでしまった。フランスは社会党政権になっているし、保守党のメルケルが支配するドイツでさえ、前社民党政権の右寄り経済政策(労働者の権利制限等)を覆し、最低賃金制を導入する始末である。日本は逸早く民主党政権に移行し、逸早く脱却しているが、「投資より配分」を求める声には強いものがあり、安保関連法改正後、ますます力を増していくことだろう。

そして理念の崩壊のきわめつけは、シリアやイラクから安全とよりよい暮らしを求めて歩いてきた大量の難民(と言うより移民志願者)がEUとの国境で止められていることだ。自由と民主主義の理想は、EUに前からいる人たちだけのための限定商品となっている。

これらの現象は何を意味するのか? 自由とか民主主義は偽善で、先進国の中流以上の者に限定された贅沢品だったのか? そうではあるまい。「衣食足りて礼節を知る」という格言があるが、今起きていることは、「衣食足らない」人が増えた、あるいは社会の前面に出てきたということ、それはリーマン・ショック後失職したか、あるいは途上国の場合グローバリゼーションの結果、外部の良い生活を知る者が増えたということだろう。

今は、先進国の社会が配分拡大への声に埋没して全般的に水準を下げていくか、それとも途上国、そして先進国内部の低所得層の水準引き上げに成功するか、どっちかだろう。
ことはきれいごとではいかない。

西欧諸国の人間の身に沁みついている個人主義、アカウンタビリティーの伝統は、中東や中南米諸国のコネと利権の価値観から縁が遠い。両者は共に住めないので、移民の大量受け入れなどとてもできるものでない。そして、国内の所得再配分も簡単にはいかない。
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