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世界はこう変わる

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2014年7月 6日

アフガニスタン 嵐の前?

(これは6月25日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第26号から一部を転載したものです。メルマガ購読手続きは末尾をご覧ください)

アフガニスタンをめぐる状況

イラクと並んで米軍が駐留していたアフガニスタンだが、今の状況は宙ぶらりんだ。どういうことかと言うと、6月14日に決選投票が行われた大統領選の決着がすっかり不透明になっているからだ。北部に集住し、政府軍の主流を握るタジク族出身の元外相アブドラ・アブドラが優勢ということだったが(決戦投票での相手はアシュラフ・ガニー元財務相)、彼には6月6日暗殺未遂が起きたし、決選投票の後も18日、「開票で不正が行われているのでーーつまりガニー側の得票の方が多い形勢なのである――、開票を停止するよう」求める声明を発したりしているのである。カルザイ現大統領が居残りを策して、様々な仕掛けをしている可能性もあるだろう。

米軍、NATO諸国の軍は、今年中にアフガニスタンからの撤退を完了することになっている。その後もアフガニスタン政府軍への助言・訓練のために米軍人が残ることになっているのだが、彼らを現地での裁判から免除する地位協定にカルザイが署名しようとしないため、米国は米軍人を残すのか残さないのか、残すなら何名を残すのかを決められずにいる。かつてイラクでも地位協定が批准されなかったがために、米軍は完全に撤退してしまい、現在の体たらくにつながっているのである。

アフガニスタンはユーラシア大陸のへその位置にある。100年前の地政学学者マッキンダーは、「ユーラシア大陸の心臓部(ハートランド)を手に入れる者がユーラシア全体を手に入れる」と言った。それもあって、19世紀型旧式の地政学を信奉するロシアなどは、米軍はアフガニスタンや中央アジア(キルギスの首都マナスの空港は、米軍のための中継ポイントになっている)から絶対撤退しないと思っているようだが、内陸パワーではない米軍はあっさりと引いてしまうだろう。確かに米国内でも、アフガニスタンや中央アジアの地理的な位置に(中国新疆地方の裏側で、ウィグル族も随分いる)関心を示す向きが一時はあったが、外部からの兵站路が脆弱なため完全撤退の決断に至った。既にマナス空港では6月中旬、撤退式が行われており、7月までには完全撤退の予定である。ロシアはユーラシア大陸で、米軍という中和剤なしに中国と正面から向き合わなければならなくなるだろう。


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