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2017年7月23日

ヴォロージン(Volodin)下院議長はロシアのワイルドカードか

(これは6月28日発行のメルマガ「文明の万華鏡」に掲載したものです)
6月16日、カーネギー財団モスクワ・センターのサイトが、ヴォロージン下院議長に注目する論説を出している。この西側ではぜんぜん注目されていないヴォロージン、要注意の人物だ。サラトフ州出身のこの男、自らの器量には不似合いと言われる野心を抱えて、これまで仕えた上司の失脚を肥やしに大統領府第一副長官にまでのし上がり、2011年12月の反政府集会後の国内統制強化、保守化を演出、昨年10月にはその野心をプーチンにも問題視されて下院議長に体よく追い出された人物。

彼の後任の内政担当大統領府第一副長官には、リベラルな感じのキリエンコ元首相が原子力公社総裁から昇格したのだが、鳴かず飛ばず。今年3月末、メドベジェフ首相の特権濫用を糾弾する動きが高校生も巻き込んで全国的に盛り上がった後も、方針不在の印象を与えている。

報道では、キリエンコは十分の人事権を与えられておらず、部内にはヴォロージンの手兵が何人も残っている。他方、ヴォロージンは下院に腹心の部下を連れて乗り込み、議員の歳費を大幅に上げる一方で統制を強化。大統領府からの干渉ははねつけて、立法府を牛耳ろうとしている。そして「プーチンのために。今のロシアはプーチン以外には治まらない」と言いつつ、本音ではライバルをそうやって押しのけ、プーチン後に備えているのである。

このように、ロシア指導部の目下最大の問題は、来年3月の大統領選挙をもう目前にして、選挙対策、内政の舞台回しを強力に進める体制が大統領府にない、ということだろう。統制強化で行くのか、それとも若年層の支持を得るためにリベラルを装うのか、経済再活性化をどう進めるのか、方向が見えない。安倍政権と同様、プーチン政権も勢いを失い、風のまにまにそよぐススキのように頼りないものになってきた。
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