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世界はこう変わる

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2019年7月20日

トランプは「戦後の世界体制」をどこまでこわすか その三 貿易体制 GATT、WTOは青息吐息

(これは、6月26日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第86号に掲載したものです)
世界の貿易は、トランプのせいで無法の戦国時代に突入したかに見える。恣意的に関税率を操作し、経済制裁を乱発しているからだ。しかし、世界貿易の大宗はこれまでと同様、動いている。戦国時代は始まっていない。トランプは「安全保障上の考慮から」25%もの関税率を中国産品に課しているが、対象外の品目、そして国では、GATTの定めたグローバルな関税率がこれまでと同様機能している。トランプは、中国を初め、貿易赤字を記録している国々への関税率を上げようとしているが、GATTを脱退したわけでもなく、WTOという機関を破壊したわけでもない。GATT自体、戦前の米国の二国間協定をベースにできたものなので、同じことを今回新たにやろうとしている、とも言える。

なお、WTOは加盟国間の貿易紛争を仲裁する機能を持っている。それは、パネルという一種の裁判所である。ここでは日本も、米国も含めて多くの国の不正を訴え、勝利を収めたことも多い。但しこのパネル(二つに分かれており、控訴審に当たるものは上級委員会と呼ばれる)の上級委員会は現在、所定の7名の委員のうち4名が任期切れで去り、3名の委員しかいない。このパネルは、もともと国際機関に服従することが嫌いな米国が目の敵にしてきたものだが(米国に不利な裁定には、これまで従ってこなかった)、トランプになってそれは益々露骨になっている。

こうして、WTOは最大限機能を麻痺させられた上で、「トランプ後」を夢見て生存のための生存をしていくことになろう。トランプ後は、トランプの残した二国間合意等をかき集め、整合性を確保した上でWTOに包含していく努力が求められる。そうしないと、次の「米国法の域外適用」とあいまって、WTOに成り代わって米国が世界の貿易・投資を仕切る、つまり米国の世界国家化につながるだろう。
 貿易面での、これまでの世界体制は息も絶え絶えというわけだ。


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