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世界はこう変わる

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2016年10月18日

世界のメルトダウン その17 国際紛争の新たなactor達5

テロ、そしてIS

 二〇一五年、テロ組織ISIS(日本では一時「イスラム国家」と呼ばれていたし、他にISあるいはISILという呼び名もある)なるものが、世界の耳目を釘付けにした。イラクやシリアという主権国家の中に武力で支配地域を拡大、勝手に「国家」を名乗った点で、これまでの国際テロ組織とは違う意味を持っていたからである。

 暴力組織が主権国家の内部で別の国家の樹立を宣言する・・・。これは現代の世界に生きている者にとって、理解できないことなのだが、それは「国民国家、主権国家は絶対」という考え方で凝り固まっているからで、世界史に目を向ければ、国民国家はできてから僅か四百年弱、その前はISのような動きが既存の国家を中から食い破ることは、ごく当たり前に起きていたのだ。既に述べたように紀元前五五九年、オリエントの一小国の王キュロスが旗揚げして周辺を統一、アケメネス朝ペルシャ帝国を建国した例、そして現代でも中国共産党がゼロからスタートして徐々に支配地域を広げ、現在の中華人民共和国を建てた例がある。

これは、現代の国際法に則って言えば、「内戦」からスタートして、やがて世界の諸国から「国家承認」されて晴れて国家となるもので、個人が法人(・・)成り(・・)するようなものだ。国家として承認されないと、その組織は単なる暴力集団、テロ組織となる。その境目は、世界の多くの国から承認されるかどうかということだけにある。法人成りにくらべて融通無碍で、心もとない話だ。

アルカイダを初め、国際テロ集団はこれまでいくつも生起してきた。その多くは当初の段階で、大国の諜報機関が何らかの目的で暴力集団を作って支援をしたものなのだが、その諜報機関が手を引くと資金源を求めてテロを働くようになるのである。アルカイダのビン・ラディン たちは当初、米国のCIAに雇われて、アフガニスタンのソ連軍と戦った「ムジャヒディン」であった。いずれにしてもテロ集団は国家として承認されない限り、単なる暴力集団であり、各国家の刑法によって扱われる。

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