Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2018年5月25日

5月の世界で何が起きたか

昨日、「まぐまぐ」社より、メルマガ「文明の万華鏡」第73号を発行しました。
ここには、そのまえがきを転載します。5月の世界で起きたことをいくつかまとめてあります。なお、この機会にこのメルマガを有料購読いただければもっと外国に取材に行けるようになりますので、よろしく御検討下さい。毎月わずか365円です。手続きは、これの末尾をご覧ください。

トランプが8日、欧州諸国の制止を振り切ってイラン核合意からの離脱を決めたことは、世界に米国外しの衝動をまた感じさせました。しかしポンペオ国務長官は21日にはイランに関する新戦略を発表、離脱するだけでなく新たな合意を求める構えを示して、西側同盟国の手綱を引き締めました。

イランには、これに戦争で応じる体力はなく、結局2015年の核合意はご破算に願いましてはで、再交渉に応じるのではないでしょうか。

NAFTA再交渉、TPPからの離脱を初め、「米国は、政権が代わるたびに前政権のした国際約束を見直す」ことがルールになろうとしています。世界全体を米国の延長と見るような、米国を核とする世界国家建設の方向とも言えるでしょう。但しローマ帝国と同じで、服属国には、米国と同じ権利、同じ利益は与えられないのですが。

米中間では18日に貿易協議の第2回目が終了。両者は、「貿易戦争はしない。関税引き上げはしばらく見合わせる」ことだけ明確にして株式市場等を安心させながらも、交渉の実体は何も進んでいないようです。要するに今回は、双方の要求を腹いっぱいぶつけ合ったところで終わっており、本当の交渉はこれからでしょう。
もっとも、少なく見積もっても中国の対米輸出の3分の1は米国企業自身によるものなので(5月29日付エコノミスト)、全体で約4600億ドルの中国の対米輸出をトランプの要求通り2000億ドルも削ったら、本当の中国製品の対米輸出は1000億ドル程しかできなくなります。

結局、中国が対米輸入を大幅に増やすしか貿易不均衡を是正する方途はない、ということなのでしょうが、米国が中国にもっと輸出できるものと言ったら、石油・天然ガスが一番でしょう。しかしこれも、米西海岸から積みだすためのインフラ(パイプラインとか港での施設とか)が整っていないはずなので、簡単ではないでしょう。結局、米中貿易協議は小型の合意を生みながらずるずる続き、その中で取り引きの一環として企業M&Aの承認や、米国先端技術の移転承認等が行われていくのでしょう。

ロシアはプーチンの4回目の政権が発足。さんざん手間をかけて、その結果大半の閣僚は留任。変わり映えのしない顔ぶれ、政策でのスタートです。平均寿命・出生率の引き上げ、保健、教育、都市環境等、国民の生活水準を目覚ましく上げることに政策の主眼は置かれ、それはトランプのイラン核合意離脱による原油価格の高騰で思いがけない追い風を受けています。右の政策実施のためには8兆ルーブル(14.4兆円)は必要だと言われていたので、これが可能となるかもしれないからです。ロシア人の気分は今、高揚の方向に向かっているのです。

他方、外交についてプーチンはまだ何も言っていません。何をするか、何を言うかわからないトランプのいる世界ではじっと静かにしているのでしょうが、18日にはメルケルが来訪しましたし、25日にはマクロン大統領の来訪も予定されています。そのあたりから、外交もそろりと再出発することになるでしょう。

日本の安倍政権は3月にTPPの米国抜きでの妥結、5月に懸案の日中韓首脳会議挙行でポイントを上げましたが、北朝鮮の非核化問題では「およびでない」状況に置かれてしまいました。24日からの安倍総理訪ロでは、北朝鮮問題で脇役となっている日ロが手を携えて、何か目立つイニシャティブを取ればいいと思います。

なお最近の日経を見ていてなるほどと思いましたが、国民からは遠いところで行われる自民党総裁選と思っていたのが、近年では米国大統領選でのプライマリーに等しいような、かなりの数の一般市民が参画する「首相公選」の小型版のようになっているようです。今では自民党員は約100万人で、これが総裁選で票を持っているので、1都道府県当たり平均21.000名の自民党員に対して総裁候補は選挙運動をしないといけないのです。例えば安倍総理は10-11日、李克強・中国首相の北海道視察に案内役を務めたということになっていますが、あれも中国に礼を尽くすというより、総裁選を意識してやったことなのでしょう。

今月の目次は次のとおりです。飛鳥紀行文を書きましたが、これは長いので、号外として後日お送りします。

米国が世界を捨てるのか、世界が米国を見放すのか
米中経済関係――クアルコム社をめぐる血闘の一幕
政権は変わり映えしなくても、石油が救うロシア経済
トランプのイラン核合意離脱で中東は戦争になるのか?
中央アジアの自立?
「経済のカギ」でなくなる製造業?
あまり報道されていないニュース
1. 通信は古来、諜報の温床
2.ロシアの傭兵が中央アフリカ共和国に
3.ロシア人飲酒せず、煙草もやめて、肥満するのみ。そしてただただ「幸せ」。
4.サウジ・アラビアでクーデター未遂?
5.アルメニアで無血革命
6.アゼルバイジャンのトランプ・タワーで不審火
7.現代アヘン戦争――オピオイドを米国に輸出する中国
8.ロシアの原発船、就航

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