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世界はこう変わる

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2017年12月 3日

サウジ・アラビアの乱調――第3次オイル危機へ?

(これは、11月22日発行したメルマガ「文明の万華鏡」第67号所載の記事の一部です。
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サウジ・アラビアが揺れている、と言うか、若いムハンマド・サルマン皇太子が揺さぶっていると言うか。問題の基本は、サルマン国王からその息子サルマン皇太子への譲位を、他の王族の抵抗・嫉妬を押し切って円滑に実現できるかどうか、そのサルマン皇太子の政策の目玉、つまりサウジを原油への依存から解放して近代的経済を樹立することができるかどうか、具体的には国営の石油会社「アラムコ」の株5%(それだけでも500―1000億ドルになる)をうまく民間・外国に買わせ、その代金で財政赤字の穴を埋めることができるかどうか、そしてもう一つ、宿敵イランの勢力拡大を阻むことができるかどうか。
王族は8000人とも言われるが、その多くは利権、賄賂を貪り、90兆円とも推定される財産を持つ。サルマン皇太子は今回、そのうち有力な連中を豪華ホテルに幽閉、財産没収に取り掛かった。

彼らの抵抗が国を割って、内戦になることはあるまい。ISISのうち、サウジの息がかかった連中が入国してテロをやることはあるだろうが、内戦はない。というのは、サウジの軍、警察、諜報機関がサルマン皇太子の力の下にあるからだ。内戦になるというよりは、サルマン皇太子に抵抗する王族、その支持者たちが残酷に粛清され、国民はそれを腐敗した王族への天誅として喝采する、こういう構図が現出するだろう。

他方、イランとの相克は、原油価格つり上げにもつながり得る。イェーメン、シリア、レバノンでのサウジ、イランの勢力争いは、いつか米国も引き込んでの直接対決につながる危機をはらむ。その途上では、原油価格急騰の局面もあるだろう。その時、アラムコの株価は上がり、民営化で政府は莫大な収入を手にできる。こうなると、危機は意図的に作りだされる可能性がある。

このサウジとイランの鞘当ては、「歴史のオリンピック」とも言うべき面白い状況を中東に現出している。歴史上最盛期を異にするペルシャ王朝、アラブ王朝、トルコのスルタンが同時に復活して覇を競ったらどうなるかという、ハリウッド映画のような実験が行われているのだ。まるでゴジラとキング・コングとモスラが同時代に鉢合わせしたようなもの。そしてかつてバグダードを焼き滅ぼしたジンギス・カンのモンゴル帝国ならぬ中国までがこの地域に再び進出、対岸のジブチに海軍基地まで設け、ジンバブエの政治まで牛耳り始めた。歴史のオリンピックと言うか、歴史の吉本興業化と言うべきか、サルマン皇太子同様、中国も「やり過ぎ」でいつコケるかわからない。


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