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2007年05月18日

台湾の国民党資産

最近ちょっと関心を持っていることに、台湾の「国民党資産」の問題がある。
2000年に民進党が政権を取って以後、国営企業の民営化が進んだとされているが、それは国民党から資金基盤を奪おうとするものであったかもしれない。
その関連で、面白いことがある。台湾から中国への投資が雪崩のごとく始まったのが1993年(鄧小平が1992年「南方講話」で外資歓迎意向を示したのを受けたものと言われる。また1985年のプラザ合意で、台湾も対米輸出停滞に悩んでいたのだろう)なのだが、この頃の台湾は民進党の勢力が急拡大していた時なのだ。
つまり、台湾の中国本土への投資の中には、国民党が民進党から守るために送った資産もあるかもしれない、と思う次第。
民進党政権は、台湾企業の中国への投資を抑制しようとする姿勢が強く見られるのだが、それは台湾内の雇用保全のためだけではないのかもしれない。
どなたか、ご存知の方は書き込みをお願いします。

コメント

投稿者: 勝又 俊介 | 2007年05月19日 15:33

国民党の資産については、戦後の資産形成の成り立ちから含めて、常識では考えられないような経緯があるわけですし(基幹産業を丸ごと飲み込むやり方ですから「世界一リッチな政党」になるに決まってます)、時は移れど、長年の一党独裁体制のなかで、その資金基盤・資金流用の不明瞭さについては、現地の方々のみならず、こうして外から眺める我々にしても「お家芸」以外の何物でもない感覚はあったかと思います。
したがって、政権を取った民進党の国営企業民営化促進策が、国民党から資金基盤を奪おうとするものであったことは間違いないものの、それらの政策はこうした「政党間の主導権争い」
という範疇を超え、客観的な観点から見ても「当時の台湾経済・台湾社会にとって必ず必要だった大ナタ」であったことは間違いないと思います。ただ、組織改革や特権階級からの圧力抑制を含めた壮大なる当初のビジョンに比べれば、民進党のビジョン実現に向けた実行力に必ずしも諸手を挙げて拍手を送れるわけではない実状ですし、一方で、国民党はそれ以上に政策的なバラつきが混沌としている感じですし、台北市長選で宋楚瑜が壊滅的な惨敗を喫した親民党もフラフラと、どちらの政党も決定的な決め手を欠く、どこかの国に似たような状況を呈している印象です。
台湾の中国本土への投資については、公表されている統計データが意味を成さないほどの資金が流れ込んでいることは確かかと思いますが、
その主語はあくまで政党ではなく、それぞれの政党の背後についている個々の経済人の活動ということになるかと思います。そしてこれら経済人の活動は、ここ10~20年になると、政治信条に基づいた政党との一体活動というよりは、自らの儲けを鑑みながら、政治信条とは別の是々非々判断で動いている状況ですので、政党からかけられる圧力も、現在では相当弱まっていることは間違いないのではないでしょうか。
民進党政権は、投資抑制を図りながらも、さりとて中国本土経済への依存は抗えない事実であり、民進党そのものの政策にも、必ずしも投資抑制一辺倒の姿勢までは感じることができません。01年ごろには、そういった抑制を緩める方向へと傾いていますし、そういった意味でも、民進党の一貫性のなさを感じたりもするのですが。
それだけ、政権政党・リーダーの舵取りが極めて難しい国であることに変わりはないと思います。

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