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世界はこう変わる

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2007年05月03日

ロシアの動向ーーーワシントンの専門家の見方

今回ワシントンに行って、ロシア問題の専門家数人とも話し合いました。その中で面白かったことを、いくつか挙げてみます。

1.中距離ミサイル
(アメリカは今、チェコ、ポーランドなどにMD[ミサイルを捕捉して撃墜するミサイル]を配備しようとして、ロシアの反発を呼んでいます。ロシアは「これはロシアへの敵対的行為だ。1987年に米国と結んだ、INF条約[中距離ミサイルを双方とも廃棄する、という合意]から脱退することも考える」と言明しています。これの意味するところについて)

「ロシアは、INF条約から本当に脱退したいのだろうと思う。アメリカのMDに対抗するというのは口実であり、実際はイラン、北朝鮮、そして何よりも中国に対する備えとして、中距離ミサイルを再び保有したいのではないか。」

2.イランの原発への協力停止
(イランのブシェル原発建設はロシアの協力プロジェクトですが、ロシアはイランからの料金支払いが滞っていることを理由に原発燃料の引渡しを停止し、これによってブシェル原発建設は頓挫しています。これが何を意味するかについて)

「これは、米国の対イラン姿勢に配慮したものでもなければ、単なる取り引き上のもつれというわけでもない。これまで原子力は一部の者に利権が握られてきたが、比較的腐敗していないキリエンコ元首相がこの部門の責任者につくことによって、イラン関係の利権は二次的なものとして処理されるようになったのだろう。米国との関係で、もっと大きな商談が獲得できると思っているのでないか。」

3.プーチン大統領三選はあり得るか?
(第3党「生命(または生活)」を率いるミローノフ上院議長は先般、憲法を変えてプーチン大統領三選を可能とするべきであると発言、その後も地方議会に声をあげるよう働きかけるなどしている。その意味合いについて)

「ミローノフの党は、共産党支持票に食い込むことを目的としている。大衆レベルが熱望しているプーチン三選を掲げて、できるだけ票を取りたいのだろう(注:ロシアでは格差が相変わらず厳しく、共産党に対する支持はむしろ微増傾向にあります。これまでの選挙では常に、共産党に対する当て馬が作られ、票を割ってきました)。だから、おそらくプーチン大統領三選はあるまい。
そうなるとセーチン大統領府副長官など、次期政権では力を失うことが確実な連中が困るので、彼らはプーチン三選を遮二無二実現しようとしていると言う者がいるが、セーチンは『退職金』をもらえば引き下がるだろう。」

コメント

投稿者: 勝又 俊介 | 2007年05月05日 02:44

非常に貴重な情報をいただき、本当にありがとうございます。
麻生外相が、これまでの外相よりも群を抜いてロシアとのコミュニケーションを取っているせいなのか、ここ1・2年はいつになくロシアの情報を新聞やインターネットで触れる機会が多くなってきているような気がしており、ちょうどいまも、麻生外相がロシアを訪問したニュースがしきりに取り上げられておりますが、やはり得られる情報の質・量も十分とは言えませんし、本サイトにおける河東先生のコメントと照らし合わせながら、情報を整理させていただいております。
私の浅薄な判断・分析力では、現時点では麻生外相のロシア外交の成果が目に見えるかたちで出てきているとはあまり思えませんが、この間の積み上げによって、今後大きな成果が顕在化してくれば、一気に次の日本のトップリーダーの座も、などということになるのでしょうか・・・。

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