Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

世界はこう変わる

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2006年11月12日

北朝鮮核実験:アジア版CSCEに向けて

(東アジア共同体評議会「百家争鳴」http://www.ceac.jp/j/menu.htmに寄稿)   
北朝鮮の核実験を境に、東アジアにおけるパワー・バランスに変化、と言うのが言いすぎならば、動意が見られる。そのきっかけは、これまではロシアと組んでアメリカに過度に干渉されることを防いできた中国が、北朝鮮の問題では中国銀行の北朝鮮口座を凍結したあたりからアメリカへの協力姿勢を強めてきたことにある。中国は同時に、安倍首相の訪中も受け入れ、これまでの日中対立から協力の方向に大きく舵を切った。
中国は、あと二十年で六十歳以上が三億人に及ぼうかという、世界に最たる老人大国となる運命を持っている。だから国民の不満の顕在化を防ぐことのできる「小康社会」を短期間で建設することに最大の政策重点を置いている。国内的には統一の維持、対外的にはステータス・クォーの維持が至上命題である。今回の中国の姿勢変化も基本的には、右の事情に基づくものだろう。
北朝鮮の核開発をめぐって、日米中の利害がこれまでにないほど一致している。東アジアの繁栄と安定を、この三国が中心となって確保していくための基盤ができつつある。日本では、アメリカが中国に接近して日本を袖にすることを警戒する声があるが、日米中はゼロサムの関係にはない。この三国の関係は、いずれの一国も他の二国を必要とする絶妙なバランスの上に成り立っている。
米国と欧州とソ連は1975年、ヘルシンキ宣言を採択して「欧州安全保障協力会議」(CSCE)を立ち上げた。彼らは話し合い以外の手段で現国境を変えることはないことを確認し、東西間のステータス・クオの維持、交流の増大に向け大きな一歩を踏み出した。
アジア版CSCEは、台湾問題と朝鮮半島の問題のために不可能だと思われてきたが、台湾については現状維持が最も望ましいことで関係者の間で意見は一致している。北朝鮮の核開発問題も、朝鮮半島のステータス・クオを確保する方向で解決をはかり、もってアジア版CSCE樹立をめざすべきではないか。
                      Japan-World Trends代表
                                      河東哲夫

コメント

投稿者: 髙須賀 伸成 | 2006年11月15日 10:12

21世紀大学経営協会/高須賀と申します。素晴しいブログのご案内を賜りありがとうございます。早速「お気に入り」に登録をさせていただきました。門外漢ではありますが、大変興味深く拝読させていただきました。ますますのご健筆を期待して止みません。

投稿者: 浅川達夫 | 2006年11月27日 11:32

佐賀IDC/浅川と申します。マスコミ報道では知ることができない情報と動向の発信に共感いたします。これまでのキャリアを生かした「事実の連鎖としての真実」があるとすれば是非ともこの真実の発信に期待いたします。

投稿者: Mur | 2006年12月09日 15:39

台湾については本当に関係者間の意見が一致しているのでしょうか?仮に事実だとしても朝令暮改の得意な中国はとても信用できないと思います。結局は少数派の台湾本省人が、数の暴力と巧みな諜報活動で飲み込まれてしまい、何れは併合されてしまうのではないでしょうか。台湾人贔屓の小生としては淋しい限りであります。

コメントを投稿





トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/83