聞け! 下づみの声――企業中堅幹部の本音
ビジネススクールで企業中堅幹部を相手に講義していると、面白い。みんな、この変革の時代にとまどっているが、やる気がある。
この前、こんなやりとりがあった。一部の日本企業は相変わらず精神主義的なアプローチを社員にたたきこんでいるようだが、これは世界では通用しない。
学生の発言: 日本では、年功序列や終身雇用といった日本独特の従来型労働システムの見直しが浸透し、働き方が大きく変わったものと認識しておりました。
ゆえに愛社精神などなくなったのだろうと思っていたのですが、今度私の友人が社主催の幹部研修に数日間参加させられ、毎日朝9時前から夜7時過ぎまで延々と研修だったそうです。
自分の意見を自由に述べる機会もなく、ひたすら受身でつらかったそうですが、本社幹部を交えての懇親会や、社歌を歌ったりしているうちに、この会社に貢献しないと、という気持ちがふつふつとわいてきた、と言います。好きというより、貢献しないといけない、というプレッシャーがです。
外国ではこのような研修制度や社歌をみんなで歌うとか、愛社精神につながる研修は
あるのでしょうか?私の印象ではなさそうに思いますが。
河東の答え:面白い。それはカルトの世界なんですよね。外国、特に欧米でそんなことやったら、嫌われるでしょうね。
催眠術に会ったようなもので、同じ幹部が数年たつと肩たたきに来るかもしれないでしょう。
他方、会社のために働くことは自分のために働くことでもあるのだ、ということをしっかり認識している限り、その会社で働いていてもいいということだと思います。経済とか企業とかは、自己目的としてあるのではなく、個々の社会成員がいい生活を送れるように存在しているのです。他方いくら企業から絞りたててもいいかというと、企業が倒産したら元も子もなくなるということでしょう。
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