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経営学

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2014年5月10日

アウトソーシングと日本企業

米国を中心に、「アウトソーシング」隆盛だ。アップルがろくに工場も持たず、台湾の鴻海精密工業などに委託してiPadやiPhoneを作っていることはよく知られているが、2005年に作られたVIZIOという僅か100人の会社が、今や全米2位のテレビ・「メーカー」になっていることは知られていない。これも、台湾の企業に製造と販売(!)をアウトソーシングして、自分ではデザインだけやっているのだそうだ。

ものづくりだけではない。電話応対センターとか、給与表管理とか、あるいは「明日の会議で使うプレゼン用資料の作成」までアウトソーシングする時代になった。これには、Business Process Outsourcing (BPO)という名前がついていて、インドのタタ財閥やフィリピンには、これだけで大企業となっているものがいくつかあるし、日本では支店が活動している。

アウトソーシングが発達していると、アイデアを製品化して販売網に乗せるコストとリスクを大きく分散できる。そう、分散。現代のように市場が大きくなると、市場にものを売り込むコストとリスクは昔とはけた違いに大きくなる。消費者は気まぐれで、企業が作ったものは滞貨の山になりかねない。B to Cのビジネスは危ないのだ。

だからこの頃は、B to Bとかのビジネスがやたら流行る。消費者にはもうこりごり、直接触りたくないので、これに直接触っている企業を探しては、その企業に部品や製品を大量に売りつける。B to Bの盛行は、アウトソーシングの時代の一つの論理的帰結なのだ。

日本の大企業は以前から、「アウトソーシング」をやっている。ただそれは、下請けを自分の系列に囲い込んだ上で、彼らに仕事を下ろす、「垂直的」なものが中心ではなかったか。日本の企業や組織はリスクに対して非常に慎重であるために、すべてのことを身内でやり遂げてしまおうとする性向が強すぎる。身内でやった方が信頼度は高いが、時間がかかるとか、ガラパゴスになるとかの問題が出てくる。アウトソーシングを取り入れていくことがいいのではないかと思う。モノづくりでも、その実例がそろそろでてきているようで。

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