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経営学

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2012年4月29日

外国での商談 政府がやるべきこと できないこと やるべきでないこと

この頃、経済の「グローバリゼーション」だとか言って(日本は明治の時代からグローバルだったと思うが)、政府がもっと商談の手助けをするよう求める声が大きい。これには、いくつか注意するべき点があるので、自分の意見をまとめておく。

1.経済はアダム・スミス、いや英国清教徒革命の頃から、政府不介入が大筋だ。ビジネスは自由がなければ、活力を失う。今や韓国やフランスだけでなく、アメリカ政府までが特定の企業の肩入れをするので日本も、という声は理解できるが、肩入れは必要のある時、場合に留めておくべきだ。

2.マスコミが決めつけているところとは違って、政府や大使館の肩入れで進んだ商談はこれまでいくつもある。
だが、大臣や大使が特定の商談を自ら推進することには、限界がある。企業は自分の持つカードのすべて、譲歩の限界を大臣や大使に示してくれるわけではないので、まともな交渉はできない。「とにかくあんたちょっと相手のところに行って、頼んできてくださいよ」程度の話しなのだ。僕も現役時代、特定企業のクレームを政府レベルに持ち出した挙句、日本企業の側にも落ち度があることを知って恥をかいたことが何度もある。
そしてもし、商談がうまくいかず、大臣や大使がその責任を追及され、裁判で負けると、賠償は政府予算ですることになる。

3.特定の商談を推進すること以上に政府がやるべきことは、ビジネスがやりやすい条件を作ることである。これこそが、政府の役割である。例えば、

①OECDは輸出信用の出し方をあれこれ縛る「紳士取り決め」を差配しているが、これを日本企業に有利になる方向で変えていく。
また円借款においては、「タイ」(日本企業への発注を相手国政府に義務付けるもの)の部分を増やしていく。

②日本企業が海外で困っている大きな問題は、「コンプライアンス」(贈賄等、不正に関与することを自主規制する等)が厳しすぎ、腐敗した開発途上国でこれを墨守していると、他の先進国に商談を容易にさらわれてしまうことである。コンプライアンスを守っていないと、米国でのビジネスが難しくなるという問題があるのだが、何とか緩和、あるいは実際上の緩和の方向に誘導するべきである。

③「大臣が行けば」、「現地の大使が乗り出してくれれば」、「ウチの商品の技術水準は一番なのだから」、「外国企業をM&Aしても、自分では相手企業の外国人の社長とは話したくない」という、「自分ではさわりたくない」症候群、つまるところ対(外国)人恐怖を捨てないといけない。
外国に進出する時の最大の武器は、現地に10年以上はとどまって人脈を築き、上部にまで食い込める支店長を常駐させることである。社長が大使とともに先方の大臣にいくら会ったところで、それだけで話は決まらない。仕込みは常駐者しかできないのである

④日本企業が海外へ流出することを、強制的に止めようとするべきではない。日本に止まれば、そのうち韓国、中国企業に買収されてしまうだけだろう。
国内での生産をある程度残すことを奨励しながらも、日本企業が海外に進出するための条件を整えるべきである。それは海外日本人学校の充実とか、帰国子女が日本の高校に途中入学できるように制度を変える、とかである。
更に、日本企業が海外での利益を日本に送金するのを奨励するために(この利益は現地国政府との間で「取り合い」になるのである。しかも日本企業はやたら日本に送金してみすみす法人税を取られるよりも、現地で運用するか投資に回そうとしがちなのだ)、日本での国際資本市場を大型化する他(金融の得意な外国人にやってもらう)、税制も変える。

⑤企業の国際化にあたっては、外務省等、在外勤務経験の長い人材の活用を考えるべきである。官僚組織では45歳を過ぎる頃には上がつまってくるので、そういう時「規格外でビジネス向きの」人材を引き抜くのである。既にちらほら先例が出ている。

⑥そして、日本企業の海外進出、商談については、外務省、経済産業省を初めとする関係各省庁の間の連絡、一丸となった取り組みが必要である。権限と予算・人員の確保、さらには退職後の第2の人生のことまで考えると、どうしても企業との関係を独占したくなりがちな気持ちはわかるが、不必要な権限争いと情報・人脈のけちな囲い込みはやめるべきである。

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