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経済学

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2012年8月16日

黒は白 白は黒 そして中国の投資は消費

「マクベス」では冒頭に魔女が出てきて、「黒は白、白は黒」とのたまわって消えていく。要するに、この世の事象はすべて相対的なもので、いつ意味がひっくり返ってもおかしくない、という意味だろう。

この伝でいくと、経済統計の世界についても同じようなことが言える。投資とか消費とか、同じ言葉でも国によってその意味するところは違って、時には反対の意味になる時もあるからだ。

たとえば、「中国では個人消費が過少で、公共投資が過大。インフラの建設投資で成長率をかせいでいる」とはよく言われること。この公共投資、またはインフラの建設投資なのだが、工場設備への投資とは違ってそれほど新しい富を生み続けるわけではないので、効率が悪い投資、むしろ政府機関による消費に近い性格を持つ。

そして工場設備への投資の場合、それがあまり過剰だと製品が余ってデフレを生むが、インフラへの建設投資の場合、あまり過剰だと鉄やセメントの値上がりを起こしてインフレを生む。その意味でも、中国の「投資」の多くはむしろ消費(あるいは浪費)だと思った方がいい。

アメリカについても同じことがあって、それはアメリカ人が買いまくる住宅のこと。これは日本では、「アメリカ人は貯蓄もせず、カネを使ってばかり」と非難する対象になるのだが、アメリカ人の住宅は消費というよりは貯蓄=投資に近い。アメリカでは住宅はどんどんアップ・グレードしながら買い替えていくものなので、中古住宅の転売市場が発達している。ペンキを塗ってよく手入れしておけば、買値より高く売ることだって夢じゃない。つまりアメリカ人が住宅を買うのは、悪くても住宅の形で貯金をしておくこと、運がよければそれを増殖できて投資に近くなる、というわけだ。

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