2011年3月25日
電力制限――工場はいけないことをしているのか?
配電制限、本当によく考えてやってほしい。なかには「みんな牛乳は一本だけ」という一律的な発想から、電気を食う工場を敵視する向きもあるようだが、ちょっとよく考えて欲しい。われわれの所得、生活はけっきょくモノづくりが作り出してきた富に依存しているところが大きいのだということを。
日本は最終製品の輸出よりも先端技術部品や製造機械の輸出で外貨をかせぐ体質になっているが、こうしたものを作る工場への電力供給をしぼると、世界中の生産チェーンをおかしくしてしまう。既にジェネラル・モーターズなども不便を感じ始めているようだ。こうなると、世界の需要家はなんとか日本製部品・機器への依存をやめようとし始めるだろう。たとえばドイツのものを注文するようになるとか。
自分にはモノづくりは関係ないと思っても、経済は流れに流れて思いもかけないところで富の源が作り出されているものだ。日本の場合、それは製造業なのである。自宅でクーラーをかけたいから隣の工場は止めてもらう――こういうことをしていると、来年は発電のための天然ガスを輸入するカネもなくなる――こういう話なのだ。
配電制限は、「皆平等に耐えしのぶ」の集団主義ではなく、社会にとって重要なところには手厚く配分する、メリハリの効いたものであってほしい。
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コメント
東日本震災に伴う「計画停電」ほど、ばかげた無策はない。実施地における混乱はもとより死亡事故まで発生している。
現状発電の総量が足りないのではなく、ピーク需要が賄えないだけであり、以下を緊急実施すれば大規模停電は回避できるのである。
1.大口電力企業
土日操業及び夜間操業へのシフトは即実施で きるはずであり、夜間電力料の割引増により 実施する側もメリットが生ずる。
2.電鉄企業
上記を実施すれば、通勤客が平準化され50
%程度に間引き運転しても問題はない。
3.販売企業
照明、空調の節電と同時に、営業時間の短縮 は必須であり、通常も実施するべきである。
4.家庭
自主停電の実施
突然の停電ではないため、事前準備が可能で あり、実施した分は電力料の節約となり被災 者を思えば十分協力できる範囲である。
その間、更なる節電対策と同時に発電量の増産に取り組み、それでも発電量が不足する場合は計画停電もやむを得ないが、現状の取り組みは本末転倒と言わざるを得ない。