Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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経済学

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2011年1月21日

アニメでも中国に抜かれる日はすぐそこに?

日本はGDPで中国に抜かれたそうだが(ドイツにもそのうち、抜き返されるかも)、これまで安泰と思っていたアニメとかコンピューター・ゲーム(「コンテンツ」という言葉で一くくりにされる)でも安心ばかりしていられない。

昨日、日本国際大学のグロコム(六本木)で開かれたセミナーに出たのだが、そこで得た印象は、

①このところ経済産業省とか外務省が、「日本はこれからコンテンツで勝負(しかない?)」ということでファッション・ショー支援に乗り出したり、外国でのコスプレ大会主宰などしているが、コンテンツの流通・販売経路を握るという基本をやっていないものだから、どんなに優れたものを作っても売り上げが限られてしまう。
欧米での販路はVIACOMなどの大手に握られ、アジアでの流通は中国のテレビ局や、華僑が出資した衛星網に握られている。彼らに権利を買われて喜んだ日本のクリエーターがいたが、それは彼らに「買い殺されて」いることもある(つまり彼らは強力なライバルを買収して放送させないことで殺す)。

②中国では政府がアニメ製造に力を入れているが、今のところお仕着せのストーリーしか書けない作者が殆どなので盛り上がらない。しかし豊かな社会に育った個性的な若者や、アメリカから出稼ぎにくるクリエーター達の時代があと2年もすれば来るだろうから、そうなると日本の優位もわかったものではない。

③日本はコンピューター・ゲームでは優位を維持してきたのだが、今ではそれはパッケージとして売られているものだけに限られてしまい、利益があがるオン・ライン・ゲームでは中国、韓国のものに完全に抜かれてしまった。

④喜ぶべきことなのかどうか知らないが、アダルトものでは日本のコンテンツが依然としてダントツ1位なのだそうだ。モラルが乱れて既に30年も経っていることが、プラスに作用しているのだろう。だから、アダルトもの女優の蒼井そらさんがツィッターで中国で超人気なのだ。政府も、彼女でも民間大使にしたてて中国に送り込めば、成功間違いなし。

コメント

投稿者: 一心 | 2011年1月23日 12:54

 勉強不足は承知しながら、コメントさせていただきます。
 まず、海外でのコンテンツ・ビジネスについてですが、海外(特に中国)においては、放映権料の収益より、関連グッズ販売等の「版権ビジネス」に力を入れるべきではないでしょうか。
 中国を例にあげると、政府の国産アニメ業界保護政策により、現在中国のテレビで日本アニメを見ることはほとんどありません。それにも関らず、「NARUTO」や「ワンピース」といった日本作品が絶大な人気を誇っているのは、インターネット動画サイトで有志の中国人ファンが字幕を付した上で公開しているからです。テレビでの放映に厳しい制限がある以上、こうした動きを作品広報のための必要悪として割り切り、むしろ中国における関連グッズ販売分野で版権尊重を徹底させることで収益を上げることに注力すべきではないでしょうか(中国で山のように売られているポスター等のアニメ関連グッズは版権使用料を払っているのでしょうか・・・)。
 次に国内アニメ産業の体力不足も指摘したいと思います。
 関係省庁の荒い鼻息の一方、足元はすでにぐらつき始めているようです。アニメ製作会社の収入高総額はここ数年下がり続けており、またスタッフの労働環境も悪く、20代の平均年収は110万円とする記事もあります。こうした状況下で質の高い作品を作り続けることは困難であり、中国に抜かれるまでもなく自沈する可能性すらあるのではないでしょうか。
 何やらアニメに偏ったコメントになってしまいました。申し訳ありません・・・。

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