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経済学

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2014年11月20日

アベノミクス  下がる価格を上げようとする無理 物価指数を変えろ

「銀行が融資をしないから経済が伸びない、銀行が融資をしないのはデフレのせいで儲かる企業、儲かる事業がない(ように見える)からだ、インフレ気味にしてモノの値段が上がるようにしてやれば企業は儲かり、投資が増えて経済は上向きに回りだすだろう」というのが、アベノミクスの肝だと思う。

消費者の立場からいくと嬉しくない話だ。賃金が上がらないなら、買えるものがどんどん少なくなって、経済はかえって冷えてしまう。企業にとっても、原材料や電力料金が上がれば、それほど利益は増えないだろう。

それでもまあ、ものの値段は上がり気味の方が投資は増えやすいということは確かだ、と仮定する。ところが金融の超緩和や円の切り下げにもかかわらず、物価指数は上がらない。一体何が悪いのか。

それは物価指数が悪いのだ。コンピューターとか洗濯機とか、これから価格が下がる一方のものを沢山対象としているからだ。そういう中で、円下落の影響もあり食品とかガソリンとか毎日の出費に関係するものがどんどん値上がりするから(これらの品目は「物価指数のバスケット」の中に入っていない)、消費が上がらない。「物価指数」の中身をいじらずに、数字だけで経済を見ようとするからねじれたことになっている。

工業製品価格は下落していくことを前提、あるいはむしろ下落のための投資を促進し、それによって成長をはかる政策にしないといけないのでは? 「デフレ」の時代でも、大企業は収益をあげていた。困っていたのは、中小企業、地方都市だったのだ。

ならば、アベノミクスの方向を変えるべきだ。今の中身のままの「物価指数」にこだわるのをやめる。そして企業の合理化投資、生産性向上投資を促進する。また日本に根強い、終身雇用制、年功序列制は長所もあるが、企業の収益率を下げている面もあるので、転職者を吸収するセーフティ・ネットを増強し、企業をスリムにする。そして大企業の少ない地方については、公共投資で支えることを愧じない。但し不要のインフラを作るのは避けて、電柱を地下に埋設して景観を良くする、温室を整備する、農産物保管倉庫を整備するなど、意味のあるものにする。

安倍政権は次々にアジェンダを設定することで、社会に勢いをつけてきた。総選挙をするのだったら、「今までのアベノミクスに信を問う」より、アベノミクスー2を提示することで、前向きの支持を得て欲しい。

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