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経済学

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2013年4月13日

周回遅れのバブル政策が持つ危険性 

野田政権の消費税引き上げ(予定)と、安倍政権による日銀の国債大量買入れで、日本は当面国債をジャブジャブ出しても平気なことになった。僕も、日本はまだ国債を出せる余力はあると思っているし、市場の余剰資金を国債を通じてできるだけ乗数効果の高い分野に回したらいいと思っている。そういう実験が行われているので、面白くてしょうがない。

半面、観覧車で高所に上がった時のように、どうも怖い。日銀が今やっていることは、リーマン・ショック以降、欧米の中銀がやってきたことだ。日銀は、リーマン・ショックがあっても、過度の緩和は控えてきたわけだが、米国のFRBでそろそろ出口論(つまり金利引き上げ)が出始めた今になって、気でも狂ったかのように緩和を始めた。つまり日銀の大幅緩和は、米国より半周、一周後れている。日銀はこれまでも、欧米の中銀とは競技場の反対側を一生懸命走っていることが多かった。

それによって何が起こるかというと、円レートが極度に高くなり過ぎたり、極度に低くなり過ぎたりして、日本が最もワリを食うことになるのではないか? リーマン・ショック後、欧米は金融緩和で通貨の価値を下げた。だから、世界の余剰資金はデフレの円に集中し、法外な円高をもたらしたのだ。

そして今、円は預金の手段ではなく、低利で借りまくっては外国で利ザヤを稼ぐための「キャリー通貨」に性格を一変させた。外国金融機関は日本で円を借り、それを直ちに売って、ドルやユーロに替えて持ち出すから、円はどんどん下がっていく。

こうして、欧米とは逆のサイクルで動くことによって、日本人は結局ワリを食っているのではないか? 

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