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政治学

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2011年7月19日

民主が独裁になるならブッシュと同じ

昔から、改革を志す者は、超法規的やり方で理想を実現しようとすることがある。ロシア革命しかり、そして民主主義を武力でイラクに広めようとしたブッシュしかり、そして説得と手続きを欠いたまま素晴らしい案を花火のように打ち上げてはどれも失速させ、手垢にまみれさせてしまう菅政権も?

ムラの原理、つまり全員一致=コンセンサスの原理でできている日本社会に、多数決原理を持ち込んで、斬新な決定ができるようにするのはいい。だが民主党が2年前勝ち取った絶対多数は、その中身がばらばらだ。

小泉改革を自民党の守旧派が後戻りさせたことに怒った者、逆に小泉改革で医療補助金などが減って不満を持った者、あるいは戦後一貫して社会主義経済・反米の立場を持してきた旧社会党の人たちなどだ。

現在の政権は、そのような雑多な成り立ちの民主党の議席数を盾にとって、党内の同意すら得ていない政策の数々を、延命のために打ち上げては、撃ち落とされて使い物にならなくしてしまうのだ。もういいから、政策に触らないでもらいたい。

ロシアのボルシェビキは実際には少数派でありながら、多数派、つまりボルシェビキを名乗って、社会民主労働党内の権力を簒奪してしまった。そして2月革命後、国内の権力が空洞化したのにつけこんで武装蜂起し、10月革命を成し遂げたのだ。つまり二重革命、まず党内、次いで国の権力を取ったのだが、菅政権はそれを逆のコース、つまりまず国、次いで党の順序でやろうとしている。

TPPも原発撤廃も、僕は賛成だ。だが菅政権ではそれはできないだろう。関係者、国民を説得し、利害を調整し、利益を失う者には正当な補償を用意し、そのための財源を見つけ、財源を作るために経済を生き返らせる――そういった手続きを全部欠いたまま、ただ「いいことなのだから、やれ」というだけでは小学生と同じだ。

菅総理は、各界を説得し、利害を調整できるような人脈を持っていない(それを持っているのは小沢氏だろう)。だから理屈の力で国民の支持をかきたて、総理の「鶴の一声」でそれを実現しよう、実現できる、できないとしたら官僚が抵抗しているからだ――という単純な構図で突っ走っている――ように見える。

日本の憲法は、総理に「鶴の一声」の権限がある、などとは書いてない。三権分立の建前だ。独裁者の出現を防ぐためである。日本総理よりはるかに大きい権限を持っているアメリカの大統領でさえ、予算については議会の同意がなければ何もできない。

憲法を外れた権力行使は、憲法に則って裁いてもらいたい。三権分立を始動させよう。憲法に外れた政治によって被害を受けた国民は、集団行政訴訟でもやってみてはどうだろう。

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