Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

政治学

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2010年8月15日

政府がちゃんと説明してこなかったから、こんなことに

日本では戦後を通じて、自民党的なるもの、社会党的なるものが対立してきた。だが、日米安保を堅持してその枠内で経済発展をはかるとの自民党路線が国民の大多数の支持を得ていたが故に、社会党は万年野党にとどまった。

社会党は国会では自民党に抗しきれないことを知っていたが、野党第1党としての実績は支持者に示さなければならず、それは政府答弁の片言隻句をとらえての審議拒否などのテクニックばかりを発達させた。大元の原則について論戦をしかけても、自民党にはおそらく勝てなかったろう。だがこのためか、あるいは昔からのことか、社会全体が原理原則についての論戦よりも、言葉尻をとらえての言い争いの方に長けた、つまらないものになってしまった。

政府の側では、治安にしても防衛にしても、できるだけ当たり障りのない答弁をして社会党に尻尾をつかませないことを最善とした。「知らしめるべからず。拠らしめるべし」を標語に、木で鼻をくくったような答弁を何十年も繰り返したのである。

その結果、今回のように政権が交代し、これまで蓋をされていた根本的な問題が次から次へと明るみでの議論に供されるようになっても、抑止力の問題にせよ核持ち込みの問題にせよ、正面からの議論より以前の責任問題などの方が関心を引いて、肝心の安全保障問題についての議論はあまり起こらない。

情報、見識が社会に普及していないが故に、生半可で実行不可能な建言、提言がまかり通り、新政権はそれを人気取りのために安易に取り上げる。これはじきに実行不可能、非現実的であることがわかるのだが、その時には政権は大きなダメージを被ってしまっている。

まあ、いい。まだもう少し、こういう学習の時期があっても大丈夫だろう。その間に、安全保障問題、対米、対中関係、経済問題、すべてについて情報を広く吟味し、公開で議論を展開し、政党の思惑を超えたところでの共通の認識に達しておくべきだ。

民主党政権も、「ブレーン」の言うことをそのまま真に受けることなく、自分でよく調べてから政策にしないと、国民の支持は得られない。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/1145