Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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政治学

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2017年6月30日

安倍が駄目なら日本はどうなる

(これは28日に「まぐまぐ」社から発行したメルマガ「文明の万華鏡」の冒頭記事です。全文はhttp://www.japan-world-trends.com/ja/subscribe.phpで購入いただけます)

安倍政権は勢いをなくしている。国民が最も期待した日本経済の復活も、インフレ率2%を至上目標とするのが的外れであることがわかってきた。4年間の安定政権が日本の外交にもたらしたものは非常に大きく、特に民主党政権でおかしくなっていた米国との関係を元に戻したことは大きな功績だ。しかし今の日本は、指導者一人だけでは国際的地位の低下を防ぎきれない。何をやっても世界情勢を大きく変えることはできないから、国際的に注目されないのである。

そして内政面で安倍政権は、腰の低さと野党暮らしにまた転落してなるものかという緊張ぶりが、なんとも言えない清新感を与えていたのが、森友学園、加計学園問題をきっかけに一気に緩みと傲りを露呈、これまでの安倍支持者をも背かせている。そしてもっといけないことは、政権がそのことを十分認識しておらず、萩生田官房副長官が圧力をかけたかどうかについても、言い逃れ、抑圧で切り抜けようとしていることだ。

安倍総理は世論のタッチを失っており、官邸の中は今井秘書官と菅官房長官の間等、ひび割れが広がって不思議でない。そしてこれまでは、安倍政権を持ち上げては情報をもらう姿勢に終始してきたマスコミも、これからは政権たたきがニュースの種とばかり、安倍政権批判のトーンを露わにしつつある。NHKまでも、ニュース番組でキャスターが加計問題について「説明が欲しいですよね」と発言。萩生田官房副長官は、NHKに怒りの発言をしたと伝えられる(NHKのサイトをクリックしたら「記事が見つかりませんでした」という表示。まるで中国、ロシアだ。恥ずかしい)。

しかし、これがすぐ政局につながることはほぼあるまい。加計問題では総理が具体的な指示を出していることはあるまいから、萩生田副長官、そして更には菅官房長官の責任止まりの話しだろう。だから、安倍政権交代の可能性が出てくるのは、自民党総裁選が行われる来年9月ということになる。

しかし、もし安倍総理がじり貧を嫌い、戦前の近衛首相のように三回目の総理就任の目を残しておくため、急きょ潔く辞任したらどうなるか? その場合、国会で次の総理が選ばれることになるが、今の国会は自民党が多数を占めているので、当然自民党の候補(普通は自民党の総裁)が選ばれることになる(自民党から候補が数人出て票が割れた場合は、過半数の票を得る者がいないだろう。その場合、上位2名の者が決戦投票に臨む)。それは自民党の派閥の領袖間の談合で―派閥は弱くなったとは言え―決まる。

現在、総理が所属していた細田派が97名、額賀派が55名、岸田派が46名、麻生派が44名、二階派が43名、石破派が19名、石原派が14名、山東派が12名のようだから、岸田外相か麻生外相が最も有力な候補だろう。いずれにしても自民党が総理をたらい回ししているうちは、内外政とも政策に大きな変更はあるまい。但し、アベノミックス=金融緩和は終わりということで、金利が上昇して円高が亢進、景気が冷え込むことになろう。

そういうわけで当面、自民党の内部で総理の地位をたらいまわしにするとしても、2018年12月には衆議院が任期満了となるし、2019年夏には参院選が予定される。そこで自民党は政権を失う可能性がある。その時にどういう連中が政権を取るのかは全く読めない。唯一ほぼ確かなことは、その時出てくる政権は以前の民主党と同じく、「離米」で分配重視型の「左派ポピュリズム」とでも言うべきものとなるだろう

そうならないように、世論との摺り合わせを進めていく必要がある。向米と離米、そして分配と成長の間でバランスの取れた現実的な安全保障・経済政策を取っていくのである。よく「有事に米軍は守ってくれないから日米同盟はいらない」という議論が聞かれるが、「米軍が出てくるかもしれない」と相手に思わせ、有事に至らせないーつまり「抑止力」として米軍は大きな意味を持っていることを理解するべきである。但し尖閣列島のような限定された領土を守るのに米軍に依存するのは、本当に国の恥なので、そこは自主防衛・抑止能力を強化するべきである。「自主防衛能力の強化と米軍による抑止力・核の傘の維持」が、現実的な政策であろう。

安全保障以外の分野では、「米国が内にこもる中、自由貿易、民主主義を守る責務は日本、ドイツが負うべきだ」という議論も一部に見られる。方向としては賛成できるが、日本もドイツも超大国ではなく、グローバルな責務を負うだけの力はないことを自覚するべきである。もっとも、日本もドイツも自由や民主主義の価値観は、「自分のために」堅持していかねばならないが。

米国では常に、内向きの声と海外でのコミットメントを主張する声が争っている。経済が良くなれば、内向きの声は小さくなる。トランプ政権は内向きだが、世界における米国の力、モラル的な力は確固として存在している。日本はトランプ政権を忌避することなく、自分の利益、自分の価値観の保持と増進をはかっていくべきである

1923年、日本は日英同盟を失効させ、米国主導の「ワシントン条約体制」の中でバランス外交を展開しようとした。しかし日本は満州占領を機にそのワシントン条約体制を自ら食い破り、米国、英国、中国を敵に回して太平洋戦争に至る。日米同盟を停止して、国際政治の波間を浮遊、あげくに四面楚歌の窮境に陥る愚行を繰り返すのはやめよう。
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