Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

政治学

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2013年10月31日

安倍政権に必要なバイキンマン

安倍政権は、これまで「国民の熱き期待を背に」という感じでやってきたが、そろそろ世論の分水嶺にさしかかってきたという直感がしている。アベノミクスも、うちの犬の食う魚の値段がどんどん上がるだけの話しで、「インフレ期待をあおって、企業投資を活発化させる。そのために日銀が銀行から、国債を大量に買いあげる。銀行はそのカネで企業に融資をする」という良循環は起きてこない。

(もっとも、多くの人には、「インフレ期待をあおって」というのがこの循環の先頭についているのが、何とも不健康に見えるのだが、その問題は別にして、とにかく投資も融資もほとんど増えていない)

アベノミクスで暮らしが良くなったという実感がないところに、総理はトルコにもう2度も行くとか、肝心の中国、韓国をよそに「活発な外交」とやらを繰り広げている。そろそろ一般の国民は、白け始め、政権がやっていることの意味がよくわからなくなってきたと思う。

もともと国民の大半は、自民党が自民党だから投票したのではない。自民党が民主党でないから投票したのだろう。国民の政治参加を増やすとか言うが、大半の有権者には「政治に参加」している時間はない。自民党に丸投げして、「お前、ちょっとやってみろ」と言っているだけのことだ。

安倍政権は、政府・官僚への抑えはきっちりしている。素晴らしい。しかし、国民からはそれは見ていてわからない。国民は、小泉さんがしたように、社会を黒と白に分け、白が黒をやっつけるというストーリーにしてくれないと、政治を論ずる気も起らない

今、安倍政権が陥っているのは、一党独裁の罠ではないか?選挙であまりに大勝ちし、野党が腰砕けになっているから、当たるところ敵なし。だがそうなると困るのは、「悪者」がいなくなることだ。良いことは全て安倍総理のおかげという方に持っていくと、状況が暗転した時、悪いことも全て安倍総理のせいになってしまう。

小泉総理は「守旧派」を悪玉に仕立て、亀井議員などまさに外見までバイキンマンのような役者ぶりだった。安倍総理も遠慮していないで、自民党絶対多数支配の下で利権を漁り、改革を邪魔している政治家達を明るみに出せばいい。マスコミも、安倍政権が日本のために大事だと思うなら、そういうことをもっと報道したらいい。                           (河東哲夫)

(このブログに出している文章は、断りのない限り、全部河東が書いているのですが、「ゴースト・ライターがいるのでしょう」などと聞いてくる人もいるので、これから全部署名を入れることにします)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/2653